一昨年の12月に四夜連続で放送された「首都直下地震ドラマ」、先月は一時間に圧縮しての再放送でした。今年の再編集版で明らかになったのは本徳の企画趣旨が「伝えること」だったこと。伝え方/伝わり方/伝える内容/伝える趣旨等々、アナウンサーを主人公にしたことを含めて、大震災という非常時の放送局の在り方に物語が集約され、非常に見易かったです。脚本作りはNHKの東日本大震災の体験が生かせたろうし、役者も被災地訪問の経験で迫真の演技になったと思う。

 ただし難点は本作の「もう一つの日本」では阪神大震災は経験していても、東日本大震災を欠いた「日本」らしい点。劇中で物語られた群衆雪崩とか火災旋風などは私の呼称する列島震災以後、日本人の防災の知見/常識になったはずで。また避難も行き先や方法を間違うと、せっかく助かった命を失う恐れがあると分かったし。だから日本のテレビ局も実際の首都直下地震では、本作のお話よりもずっと上手く対処すると憶測でき。

 つまり本作は実際には「3.11」以前の知見に基づく「震災ドラマ」だが、コロナ禍で改めて放送する意味は大きいと思われ。アナウンサーの後悔と番組ディレクターの葛藤は、他人事として観察する私たち視聴者に課す「課題」と推察できるから。「私たちは責任をもって放送している。あなたたちは責任をもって情報を拡散しているか?」。私自身は同意する意見でもツイッターの場合はいいねやリツイートは避けているのですね。

 

参考:NHKスペシャル パラレル東京

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