本放送が殆ど七年前のシリーズ第一回。上手くいけば「プロジェクトX」になり得る技術者の奮闘で始まるが、漁業者(組合)たったり追われた町民だったりと、社会や地域としての問題も描写。さらにスリーマイル島やチェルノブイリという先例から、廃炉の難しさを指摘。とはいっても作業員には被災地の人がいると紹介し、現場に敬意を表した番組ではあり。原発の後始末の一つとしての廃炉、様々な影響を及ぼすと知らしめた番組。

 廃炉とは本来原発の稼働を停止して使用済み核燃料を取り出した上で原発を解体し、更地にした土地を地権者か自治体に返すこと。事故を起こした炉でも最終目標は同じだが、取り出す対象が燃料デブリになったことに問題の難しさがある。「デブリ」の破片一個が大きいと持ち上げるのに労力(動力のためのエネルギー、籠の開発)が要るが、スリーマイル島原発事故の経験から、デブリは大きい固まりになっている恐れがあるらしく。しかも硬いという。

 だから出演してくれたスリーマイル島事故で対処に当たった人は、日本人が決断を迫られる時が来ると忠告を。実際、四年で取り出しを終えたデブリは(倉庫が並べられた)一か所に集められているけど、最終処分場はアメリカでも決定し損なってるし。だから放射能が減少するのを待つチェルノブイリを例示したはずで。しかしチェルノブイリの方法は避難民/被災者の帰る場所の喪失。個々の人間は生き延びられても地域名の墓碑を立てることに。

 

参考:NHKスペシャル シリーズ 廃炉への道 第1回「放射能“封じ込め”果てしなき闘い」

[4582hairo 01 2014.txt]