名作呼ばわりを拒否してると考えられる映画がある。例えば『T2』、例えば『地獄の黙示録』等は、
娯楽に徹していたり演出が過剰だったりで、お話としては社会派、表現としては真面目な「名作」を、
監督は企画意図として排除していたと憶測を。本作の『花筐/HANAGATAMI』も過剰な演出や、
各々の象徴表現によって私は「凄い映画」になったと思うのです。
凄さの理由は察するところ、(当時の)戦争を肯定しつつある風潮に抵抗するため。事実としては、
反戦を言うことさえ憚れる(学生にとっては)鬱屈した時代だったが、思いの強さを素直に表現すれば、
(映画の中だげも)世相を批判できると示した映画。だから真珠湾攻撃の知らせを知って自死したのは、
「死ぬときは自分で決める」という個人の国家に対する精一杯の抵抗。
ならばせいぜい「引き分け」という批判が想定できるが、冒頭に檀一雄の『花筐』を示した意味を、
考察。つまり作家の檀が『花筐』を著わし、映画作家・大林宣彦の『花筐/HANAGATAMI』で、
戦争に復讐を果たしたと考えられ。だから今度は観客の我々の番で、観た後の責任が一人ひとりに、
課せられた形。なので私は評価を回避。ただロックだったことは指摘しておく。
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