一一月
ベルリン 物理学会の会合
プランクに語るルーベンス 「なにはともあれ、単色光線の強度には一つの因子として温度が現われ、他の因子として無限に上昇する温度に対して有限に止まる表式が現れることは確かです」
プランク 「熱は粒子でないと計算結果は発散するが」
ルーベンス 「では粒子なのでしょう、熱は」
(アインシュタインの声) 「黒体輻射を導くためには一九〇〇年一一月、嫌悪し敵対していた「ボルツマンの方法」を利用しなければならなかった事実こそ、「懐疑の一幕」が係わっていた。なりゆきとして ε という物理量を導入したが、付加的なものにすぎなかった。当時の講義の聴講者や英国の同僚ロバート・ウィリアムズ・ウッドへの手紙から結論できる。ε=h・νについて」
(プランクの声) 「純粋に形式的な仮定であって、よく考えた訳ではなく、どんな場合にも、どんな犠牲を払っても、積極的な結果を導かなくてはならない、と考えただけなのです」
(アインシュタインの声) 「もともと ε は計算のあとで零にできると考えていた」
[3730ej00 11xx.txt]