ネルンスト、最高司令部、ハーバー
ネルンストはクルックスとともに肥料としての重要性しか語らなかった。しかし硝酸塩は爆発物の製造にも重要だった。なので短期戦を予定していた最高司令部は、開戦後三ヵ月にして早期勝利の見通しが遠のいたとき、ハーバー・ボッシュ工程は最優先する国策となった。
ハーバーと組織されたドイツ化学工業がなかったら、一年以内に和平の道を講じなくてはならなかったろう。ハーバー・ボッシュ工程の成功は、連合国の短期間に降伏させる希望に失敗した。
ドイツは一九一四年に勝利の機会を失ってから、国全体を動員する必要に迫られた。同時に、対処する策ができていないことが気の毒なほどはっきりした。
『ネルンストの世界』より
[3683ej14 11xx moto.txt]