十一月
ベルリン
 ルートヴィヒ・ホップ、少年と相対している。
 手紙を読んでいるプランク。
(プランクの声) 「からの、悲嘆の手紙だった」

 マイトナーの状況 (マイトナーとボーア、会ったか? 手紙だけか?)

ベルリン
 堂々としている新所長ゲルハルト・ヤンダー。
ヤンダー 「私がカイザー・ヴィルヘルム物理化学・電気化学研究所の新所長、ゲルハルト・ヤンダーである」
 驚いているプランクとハーン。
(ヤンダーの声) 「オットー・ハーン氏においては、」
 胸を張っているヤンダー。
ヤンダー 「臨時所長の件、ご苦労であった!」
 三人(あるいはもっといるか?)を見回すヤンダー。
ヤンダー 「これからは、」
 ハーンを睨むヤンダー。
ヤンダー 「私が当研究所の最高責任者である!」
(ハーンの声) 「後任に迎えられたのは、党の定評ある活動家だった。ハーバーがはぐくんできた研究所は事実上崩壊した」
 かぎ十字の旗がたなびく、研究所の前景。
(ハーンの声) 「ナチ前の水準でいえば、地位につける器にはみえなかっただろう。皮肉にも、ヤンダーが行なった唯一の研究は、化学兵器関係であった。国防相は、研究所を毒ガス研究機関に衣替えにしたいと考えていた」
 以後のハーバーの研究所の状況 注43
 突撃隊員の訓練風景。あるいは街中を監視している突撃隊員。
 突撃定員の一人に、パスクァル・ヨルダン。
(ヒルベルトの声) 「一一月になるとボルンの同僚だったヨルダンが三〇〇万人の突撃隊員の一人となった」



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