一〇月二九日
ブリュッセル
ソルヴェイ会議
 講演しているボーア。
 聴衆のアインシュタイン、熱心に聞いている。
 アインシュタインを度々見る、ボーア。
 挨拶するボーア。拍手の音の中、壇上を降りるボーア。
 指定の席でハイゼンベルクに迎えられるボーア。
ハイゼンベルク 「今年はアインシュタイン、」
 ノートを見ているアインシュタイン。
(ハイゼンベルクの声) 「量子論に関して何もコメントしませんでしたね」
 アインシュタインを見る、ハイゼンベルクとボーア。
ボーア 「ああ、時期が時期だからと言いたいところだが、」
 ハイゼンベルクを見るボーア。
ボーア 「科学については最も厳しい部類の一人だ。我われに反撃してくるかも知れん」
 ハイゼンベルク、ボーアを取り替える。
ハイゼンベルク 「まさか」
ボーア 「そのうち分かるだろう」

 講演しているレオン・ローゼンフェルト。
ローゼンフェルト 「何か質問はありますか?」
(アインシュタインの声) 「はい」
 会場に指差すローゼンフェルト。
ローゼンフェルト 「はい、アインシュタイン教授」
アインシュタイン 「ご指名いただき感謝します。プリンストン大学のアルベルト・アインシュタインです。次のような状況についてどうお思いでしょうか」
 訝しげな表情のローゼンフェルト。
 真面目な表情のアインシュタイン。
アインシュタイン 「二つの粒子が同じ非常に大きい運動量で、向き合って運動しているとしよう(後略)」



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