本作が民主主義という制度の欠点を露わことに私も評価しますが、では「ヒトラー」を否定して、
行政(機関)の市民社会至上主義を標榜は、国家は国民に「税による巨大な夢」の回避を意味。そう、
国家は国民に対して「自立・自律した個人」を目指す(せる)よう誘導し、各々の社会集団が、
活発な活動ができるように税制を変えるが、為政者が大きな物語を語ることは拒否する社会。

 しかし選挙は元もと社会の問題点を「立候補者」に集約させて勝敗を決める制度だし、人はときに、
所属する社会集団に巨大な否定の気持ちを持つことがある。しかしはぐれ者の批判の対象が、
社会制度なら社会評論家に、国家なら革命家や議員になり得ると思いますが、はぐれたという、
認識だけがある人間は「国家」に所属組織を求める構図が想定でき。

 また市民社会が存続できる社会とは市民が行政を信頼できる社会と理解するので、政治(家)は、
行政の問題を逐一指摘し、市民が生き易いようや法律を制定し続ける役目と考えられ。しかし、
国外の風潮の変わりようが激しい場合、または巨大な問題が認識できるようになった時、ただ一人に、
製作の判断を任せる(せてしまう)事態が想定でき、「ヒトラー」の存在意義があるわけ。

 固有名詞のヒトラーは民族主義や国家主義の体現者だから批判の対象であり続けると思うけど、
例えば国家予算の大幅な組み換えは裁定者としての「ヒトラー」が必要と私は考え。はやぶさや、
(スーパー)カミオカンデぐらいなら主導する(多分)科学者の行政手腕で予算をとり続けられるが、
有人宇宙飛行のような巨大な計画の場合は「政治家の意志と決断」が必要であり。

 もちろん十分な時間をかけ、論点を絞り続けることができれば理想の議論になりますが、
国民投票なら英国のEU離脱問題、今回の米国の大統領選での非難合戦など、民主主義制度では、
話題が俗人なものになり勝ちで。当時のドイツも政治が混乱して経済が停滞し、社会が破綻したのが、
ヒトラー率いるナチス政権が成立した理由と(科学者の伝記を読んで)私は理解できたから。
[3657hitler.txt]