八月十九日
ルーヴァン(ベルギー)
 ハーン、価値のある中世の文化遺産が破壊されるのを見て、呆然とする。傍らに上官。
上官 「壁の背後に狙撃兵がいると想定されたため、予防手段を講じたものだ。気にするな」
ハーン 「はい…」
 立ち去るハーンたち。
(ハーンの声) 「同志意識で結ばれた軍隊生活自体は魅力的だった」

 教科書での戦争の記述。授業の風景。
(アインシュタインの声) 「しかし一九一四年ほとんどのヨーロッパ人にとって、戦争とは抽象的なものでしかなかった。「最近の」戦争というと、一八七〇 ― 七一年の普仏戦争であった。反面、四〇年もの間、平和でもなかった。経済戦争、バルカン諸国の絶え間ない紛争、敵側の同盟協定、エスカレートする一方の軍備拡大と、きなくさくなるばかりだった」

 フォン・ラウエ、電子管の物理学的研究に打ち込んでいる。
 フィッシャーとハーバー、交渉している。
フィッシャー 「軍需・農業用の合成硝酸塩の生産量を大幅に増加させるべきです!」
ハーバー 「ほかの原料について代替物の考案が必要になります」
フィッシャー 「何時まで戦う見通しなのですか?」
(アインシュタインの声) 「六か月以上に及ぶ戦争にむけた計画があるわけではなかった」



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