八月六日
(マリー・)キュリー
 マリーがイレーヌに宛てた一九一四年八月六日付の手紙によると、娘をパリにつれて帰りたいと願っていたようである。

 (前略)
 アンドレとモーリスは出発しました。(中略)
現在、ドイツ軍は交戦しつつベルギーを横断しています。……フランス人はみな希望を抱いていて、戦いが苦しくても結局はフランスが勝つと信じています。

 そして、付け足したに死んで、祖国ポーランドの状況について知らせている。

 現在、ポーランドはドイツ軍に占領されています。ドイツ軍が去ったあとは、何が残るのかしら。ヴァランチーヌはこのことを知っていますか。きっとずい分心配していることでしょう。私自身もポーランドの家族のことは何もわかりません。誰にとっても苦しい時代なのです。アンドレとモーリスは出発前にあなたとエーヴに手紙を書きました。
『マリー・キュリー 激動の時代に生きた女性科学者の素顔』より



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