三月二九日
ベルリン
帝国委員会
 宣言する議長。
議長 「帝国委員会は、アカデミーにアインシュタインの真意を確かめ、必要なら懲戒処分をするよう要請する!」
 要請書を受け取るプランク。
(プランクの声) 「私はとりなすことが出来ないと思った。互いに尊敬しあっていたので、自発的な脱会を促すのは難しかった」

アカデミーの会合。
 教育相ベルンハルト・ルスト、激して発言。
ルスト 「アインシュタインが国外で非礼な振る舞いを繰り返している」
  ルスト、要請書を掲げる。
ルスト 「よってこの要請書より重い処分が適当である」
 ルスト、会員を見回す。
ルスト 「私は長官として発言する。当アカデミーはアインシュタインを慰留すべき理由などない!」

(場所不明)
 汽車に乗っているアインシュタイン。
(アインシュタインの声) シチリア島へ行く途中 プランクへ、自分から職を辞す内容の手紙を認めた」

教育相ベルンハルト・ルスト、ラウエ、プランク、アインシュタイン
 アインシュタインが「故意の歪曲」に異議を唱えると、こんどは「洪水のように噴出する虚言」からドイツを擁護しないという点を攻撃された。アインシュタインは「そんな証言をしたならば、……間接的にせよ道徳的な堕落ですし、既存の文化的価値体系の撲滅に手を染めたことになります。貴殿の書状を拝見し、アカデミーを辞任した判断は正しかった、と実感するばかりです」

 ラウエはアカデミーがとった態度に愕然としたが、アインシュタイン支持のそぶりを見せるほどの勇気はなかった。プランクでさえアインシュタインが「政治的」声明を出したからには、アカデミーにとどまることは不可能だろうと述べた。アインシュタイン本人は二度とドイツの土を踏まないと誓った。「ドイツの知識人が集団としてやっていることをみれば、まるで烏合の衆だ」



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