(リーゼ・)マイトナー、ハーン、ハーバー
ワイマール共和国の黒、金、秋の国旗は降ろされた。SA隊員が該当を闊歩し、非協力的な役人を政府のポストから外していった。ユダヤ人弁護士、判事は法廷から追い出され、敵対する政治家は獄に放り込まれた。ダッハウや、オーラニエンブルクでは、最初の強制収容所の準備が整っていた。「政治が大きく変動し、誰もかも何もかもが、影響を被っています」と、二週間後に書き送っている。細かいことは伏せた。アメリカに着くには一〇日かかるから、オットーはニュースを新聞で読んでいるだろう。研究所のことだけ書くほうが賢明だ。「先週KWGから、かぎ十字を掲げよ、と通告を受けました。……ハーバー先生にとってつらかったと思います」。マイトナーにとっても。
マイトナー、ハーン
オットーは、コーネル大学での講義が終わり次第、帰ることにした。リーゼは、ユダヤ人排斥運動をより根深い悪意のあらわれとみていた。「反ユダヤ主義は問題の一つに過ぎません。深刻な、もっと深刻な問題があるのです。ドイツのことを思うならば、どうなるかを考えるべきでしょう」
以上、『リーゼ・マイトナー―嵐の時代を生き抜いた女性科学者』より
プランク
ドイツの新聞紙上にも掲載され、否定の反響を呼んだ。驚いた同僚たちは、アインシュタインの「新国家政府」との対決に苦慮。「貴殿の(中略)声明への評判を耳にして、たいへん心配しております。はっきりしているのは、(中略)貴殿を高く評価し尊敬する人たちが貴殿を支持することが。非常にむずかしくなった、ということです」という.プランクからの手紙を受け取る。
『アインシュタインの時代』より
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