実は私は原作を未読で岡本喜八版の視聴もままでも、本作の要素を抽出した映像作品を鑑賞済み。
「パトレイバー・シリーズ」と言えばアニメ史に興味がある人なら、即座に見当がつくはず。そう、
今はアーリーデイズと呼称される初期OVAの五本目と六本目、さらに「パト2」と呼ばれる、
押井守(おしい・まもる)監督の映画がある。
両方とも主人公(側)が解決する「事件」はクーデターなので、原作と映画の元の宮城事件を範に、
アニメを作ったことは明らか。OVAの副題は「二課の一番長い日」だし。ただしパトレイバーと、
大東亜戦争とは「クーデター」の劇中世界での意味が違うことも、私にとって明らかであり。例えば、
特車二課が対決した柘植行人の主張は、現在の日本の平和は仮初めの平和だと言うこと。
一方、終戦(宣言)の日にクーデターを主張した青年将校の主張は「まだ戦える」というもの。で、
私が関心を持つようになった「政治と行政の違い」から考えると各々の典型例と気づく。平和から、
戦争情況を発生させるには、今の世界の「急所」を突く必要。弱点に気づいてしまった社会は、
是正するか黙殺するか、あるいは暴いた人物を黙認するかあり得るが、すべて政治決断と私は理解。
一方で戦争末期の場合、クーデターによの軍事政権樹立は戦争の継続の意味に。青年将校自身は、
血気盛んで自らを正義と信じているけど、「情況の変更を拒否」という役人の思想と私は考え。そう、
当時は和平の選択こそが「政治」行為なのでした。つまり本作『日本のいちばん長い日』は、
日本で(重大な)政治(決断)をする困難を暴露した映画と理解でき。
私自身は、「だから日本に戦争は無理」という意見を導くのですね。戦争反対という私自身の、
先入観があるけれども。
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