映画『機動戦士ＺガンダムIII 星の鼓動は愛』

　これほどまでに濃密な映画も、またとない。結末に衝撃を受けたり、映像美を堪能したり、
展開に痛快さを感じたり、それが映画と思っていたけれど。１００分ほどの時間内でここまで物語、
詰め込むことが出来るかという感想を。

　あるいはグランドホテル形式という構成にしても。それを手本にした三谷幸喜脚本・監督の、
『有頂天ホテル』を遙かに上回る登場人物の数。それでも破綻や未消化になっていないことの不思議。
　それどころか、一人ひとりの明確な人間の対立の構図は、そのまま現在の混迷の状況だから。無理なく、
物語を堪能。

　確かに俗っぽいラストで、ＹＡＨＯＯの「みんなのレビュー」でも批判していた人あり。その点も含め、
かなり辛辣な意見も。しかし監督は『機動戦士Ｚガンダム　ヒストリカ』刊行記念スペシャル、
そのインタビューで「あれはあの時代のリアリズムでしかないから、
２０年後まで持ち込むなというメッセージ」。私もそれに、全く同意見。