まず大道具小道具、つまり最初に目を付くのは、切り取られた各々のショットの素晴らしさ。もちろん、
それらのショットの中で人物は動き回るのですが、パンフレットの中の写真として収めても、見応えあり。
 その意味で美術の凄味は、『シスの復讐』に引けをとらないもの。

 一方で登場人物に関しては、シャイロック、アントーニオ、バッサーニオ、ポーシャ、ジェシカ、
元のシェイクスピアの台本が魅力的なのでしょうが、誰もが主役を張れる人物造形。そして実際に、
各々の場面で主人公になるのですが。物語の縦軸に乗っての行動なので、戸惑うことなし。

 個々の俳優の演技力にしても、その地位と性格を鑑みれば、納得出来るもので。さすがに元が舞台だから、
台詞で説明すぎの場面、多々あったけど。人物が動作しながら離しているので、邪魔には成らず。評価は、
五つ星満点で、星五つ。