『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』放送以前、TVアニメにパート2はすでにあり。草創期の、
『鉄腕アトム』や『鉄人28号』はリメイクとして。スポ根マンガからは、『あしたのジョー2』や、
『新巨人の星』、『新巨人の星II』。マンガ原作ではほかに、『ルパン三世』が新シリーズとして、
『天才バカボン』も元祖を付けて、それぞれありましたっけ。

 もちろんオリジナル作品でも。アニメブームの露払いを果たした『科学忍者隊ガッチャマン』は、
『II』と『F(ファイター)』が。火付け役である『宇宙戦艦ヤマト』は、
TVに限っても『2』と『Ⅲ』がこの時点ですでに。

 富野由悠季監督はその当時、実は続編をオファーのある前から構想済み。しかしそれでも、
いざ絵にする段階で、旧作の人間をどう処理するか、悩んだことと。結局選んだ手段は、
オリジナル作品、「ガッチャマン」や「ヤマト」のアンチテーゼ。オリジナルは作画の安定指向から、
設定の変更は続編であっても嫌いがち。敵方は新たに描き起こしても、
こちら側の勢力は不動とするのがシリーズ化するうえでの不文律でした。

 しかし、実写子ども番組『仮面ライダー』は、『Black』までは連続性のあるもの。ですから、
歴代ライダーが素顔で登場の場合、年を取った人間がそのまま出演することで、説得力を獲得。さらに、
マンガ作品であれば登場人物の変化は不可避。続編であればなおさら。
 上記からであれば、リメイクやギャグマンガは、この際除外。『あしたのジョー2』は、
アニメ化されなかった終盤の製作がその目的なので、続編とはいえず。

 ここで題材にするのは、『新巨人の星』。旧作の登場人物を中心に展開するとはいえ、プロ野球という、
浮き沈みの激しい現実社会が舞台なので、無理ない登場人物の役割変化。もともと旧作である、
『巨人の星』で主人公である星飛雄馬が過ごす年代は、少年期から青年期のとば口にあたる。つまり、
精神的、肉体的に変化の激しい時期を扱っていたので、続編マンガで変化させること自体は、
自明と推測でき。

『Z』のヒントは、ここじゃないかな。さらに主人公以下の登場人物の多くを改めることで、
TVアニメに新しい手法を入手。それは、宇宙世紀という架空の歴号、0079年という具体的な年、
それを設定していたことでも働いた有利さ。もちろん「ヤマト」でも2199と特定していたので、
『2』では若干大人びましたが、こちら側の人間の大幅な入れ替えはないまま。

 つまり『Z』は、宇宙世紀という架空の世界、社会そのものを創造した、何よりの証拠。