消費者としてもイライラしないのは大事です | 恋着、横着、漂着 遊び盛りゆるゆるのびのび60代

恋着、横着、漂着 遊び盛りゆるゆるのびのび60代

2年早く退職して機能と効率のタガを外すことが出来ました。
人生をゆるゆるのびのびと楽しんで味わって行きたいと思う60代です。

 二三日の間に100均を複数回利用する機会があった。

 

 まず2024年版の手帖を買った。

 かつては5年手帖なるものを買っていた時期があった。目的はひとつで、自分の独り芝居の上演日を確定させるためである。スケジュールをチェックしてゆくと、どの年を見ても11月の最後の土日だけ休日出勤をしなくていいことが分かった。尚且つ演じる方観る方両者にとって暑くもなし寒くもなしという季節である。このことが判明した時点で、5年手帖の使い道の切迫性は事実上なくなっていた。せいぜい、「去年の今頃も○○の会議、研修があった」だの「コロナ禍で、✕✕年だけなかった」という再確認をする程度のものになった。

 以来、買うこともなくなった。今は「書き流し書き捨て」または「芝居のアイデア」用にコクヨのそふとリングノートを使って事足りている。

 

 ただし、退職後に地元ミニコミ紙の編集会議と作業という無報酬の仕事が始まったので、ガラケーにスケジュールを入力する以外にも自己管理が必要だろうと思うようになった。

 しかし、この関係で複数年にわたってのスケジュールチェックは必要だろうか?いや、要らないだろうと思い、100均の1年手帖にした。B6版の目立つ色のもので、これならA6版のコクヨノートに常に挟んでおけば紛失することもない。

 で、買った後に駅ビルの同じ階にある書店で5年手帖を手に取ってみた。諸物価高騰の折、3000円超えである。もし、複数年にわたるスケジュールチェックをする必要があるにしても、5年間というスパンは要らないだろう、せいぜい去年の同時期との比較で済むはずで、だったら、100均で買った去年の手帖も直ぐに捨てずに手元に置けばいい。それなら220円で済む。

 

 というわけで、手帖は単年ものでいいと改めて判断した次第である。

 

 今日は、はがきホルダーを買いに行った。賀状含めたはがきの整理のためである。

 ところが、なかなか見当たらない。カードや名刺のホルダーはあるのだが、はがきホルダーがないのである。

 たまたま近くを通りかかった店員さんがいたので、有無を尋ねた。私が見ていたコーナーを点検してくれたが、「すみません、ないようですね」という答えだった。

 うーむ、それにしても、カードや名刺のホルダーがあるのになあと思いながら、諦めきれない私は尚もコーナー内を見て探っていたら、いやあ、あったあった。「はがきホルダー」という表示はない。他の標示に埋もれていた。しかも、はがき1枚分の大きさのホルダーではなく、2枚をヨコに入れる大きさのものがあった。

 ・・・

 まあ、店員さんもなあ・・・商品を片っ端から点検し切って、それが頭の中に入っているわけではないからなあ、責められはしないよなあと思った。そういえば、いつだったかテレビで、カインズホームの店員さんがお客さんに尋ねられた商品の有無と置かれている場所を即答できない自分が「まだまだ」であり、「即答できる店員になりたい」と語っているくだりを観たことがあった。

 店員さんも大変なのである。

 しかも、アルバイトやパートの店員さんだとしたら熟知していないのが当たり前だろう。

 どの業界も依然として非正規雇用は多いし、人手不足である。

 

 ・・・と痛感したひとときだったのだが・・・私は勤め人を続けていたら、果たしてこんなふうに考えただろうかと自問が始まった。「無い」と言ったが、あるじゃねえかよバカヤロウと思いはしなかっただろうか、と。

 結果、「いやいや、勤め人であったとしても、そう考えたよ」と言い切る自信はないのである。

 機能と効率で頭も身体も動いていた勤め人の頃の私は、消費者になったとしても、やっぱり機能と効率で商品を探し、見つけ、レジに急いでいたのではないか。レジで腹いせに「店員さんが『無い』と言ってたけどあったぜ」と嫌味の一つも言っていたかもしれない。

 嫌な客だねえ。

 そのレジの店員さんが職歴間もないアルバイトかパートだったら、対処などできないし、店員としてのストレスを私が与えるだけだろう。これは推測ではあるが、非正規雇用の店員中心の店で、ある商品の在庫の有無や置き場所が一人の客のコメントによって洗い直され、店員全員の共通意識にされるなどという構えなど、このご時世で期待する方が間違っているかもしれない。私が嫌味を言ってやった、胸がスッとしたという「効果」が残るだけである。

 あんまり、嫌な客になっちゃいけないよなあと。

 

 そんなわけで、退職後の自分を勤め人の頃の自分と比べてみた日常の一コマでした。

 

 

  ※参考文献 髙橋秀実『定年入門』