吉村昭『大黒屋光太夫』読了後にアレコレ配役シミュレーション | 恋着、横着、漂着 遊び盛りゆるゆるのびのび60代

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 吉村昭『大黒屋光太夫』を今週半ばに読了した。

 漂流後のロシア在留期間は約10年で、その間、バタバタと仲間たちは死んでゆく。作者は光太夫の精神・肉体両面での強靭さを特記してはいないが、並みはずれた人物だったことは想像できる。それにしても、井上靖原作の映画版は未見ながら、おそらく中途半端だったんじゃあないだろうかと思う。というのも、この在留10年をドラマにするには無理がある。10年という、気の遠くなるような年月にあって帰国の執念を捨てない光太夫の生き様をダイジェストで見せるわけには行かないのである。

 映画にしちまったら台無しになる、という小説はあるもんだよなあと妙な感心をしてしまった。

 

 同じ作者の『漂流』については、すでに視聴体験済みで、やっぱりダメだった。ただし、主人公の北大路欣也はピッタリで、いや、まあ実在の人物よりはいい男なんだろうけど、それでも、『漂流』を再読再再読していた時にも、勝手にイメージ出来ていた。

 

 光太夫は、誰が演じればいいのだろうか・・・などと、またマヌケなことを考える。映画には向かない、出来ないと書いたにも関わらず、なのだが・・・うーん、光太夫は、沖船頭という職にあって、かなり知性の人であったことは明らかで、尚且つ、頑健・不屈なのだ。

 確かに、緒形拳は悪くないなあ。そう言えば、同じ吉村昭の『破獄』がNHKでドラマになったのだが、主人公は緒形拳だったようで、一度は観たいと思う。

 北大路でもいいよなあグッと若い時の。

 三船だと風格がありすぎるかなあ。いや、「隠し砦の三悪人」の頃ならいいかも知れない。

 ・・・とまあ、愚にもつかぬことを考え、イメージするのも一興ではある。