昨夜、夕食の後かたずけを済ませ、メールのチェックとFBへの投稿をした後、ゆっくりと入浴を楽しみ、さて寝ようとしていたところに携帯電話が鳴りました。

 ディスプレイを見ると何と母から。

 「こんな夜中に」と、いやな胸騒ぎを感じで電話に出ると、半分鳴き声で「粗相してしまった」と。

 電話口の声はかなり興奮していて「死にたい」「こんなところにいたくない」の連発。

 時間は午前2時を回っていました。

 なんとかなだめすかせて気持ちを落ち着かせようとしましたが、興奮は高まるばかり。

 「困ったなあ」と思いながら、「いま看護師さんに電話をするからともかく切るわよ」と。
 
 それですぐにナースステーションに電話をかけて、母の気持ちを何とか静めていただくことを依頼し、今朝早めに病院に出かけました。

 あの後、病院では適切な対応をしてくださったと思いますが、私が着いたときは、点滴の針を抜いてしまって寝具をびしょ濡れにするなどの騒ぎの後でした。

 そして開口一番「殺されるところだった」と。粗相はナースコールをしたのに間に合わなかったことが原因だそうですが、それが母にとってはショックだったようで、それがもとでの錯乱状態が続いていたようです。

話す内容も知らない人が大勢取り囲んで着ている脱がそうとした」「いやだというと大きな声で怒鳴りつけられた」「怖いので逃げようとしたが、窓もない部屋で逃げられなかった」「新聞を見ると、病院で老婆が殺されたと大きく出ていた」等々支離滅裂なことを必死に訴えていました。

 私の家でも夕方になると少し不穏な状態になることはありましたが、それまでは言うことはかなり整然としていて、何となく納得させられた思いがしましたが、今朝の母はこれまでに見たこともないような、完全な錯乱状態。

 そんなときは反論をしないで、ともかく話をじっと聞いていることだと思い、時々相槌を打ちながら聞いていると、母の気持ちも落ち着いてた来たのでしょう。
1時間ほどしたら元の母に戻りましたが、この錯乱状態は、母がまだしっかりと自尊心を保っていることの証ではないかと、私には思えました。

 そして今日は入院してから初めて車いすでトイレに行って、看護師が手伝うというのを拒否して、ウォッシュレットのお湯を流しながら、自分で慣れた摘便もして、お腹もすっきりさせることができました。

 トイレは広いので私も一緒に入ってその様子をつぶさに見ていて、95歳の母のすごさをみた思いです。

 これまで一人暮らしをしてきて、家事などは手伝っていましたが、肝心な「いのち」の維持に関しては私も案外無関心、というか知らないことがあったなあと、改めて母のすごさを実感させられました。

 年寄りを侮ってはいけない。

 周りからみると汚いとか、不潔とか言われそうですが、こんなにも神々しい姿に接して、心底そんな思いに駆られています。