夫のところへ そ〜っと行って…
『起きてる…?』
『…うん』
『朝陽がオレンジなの…一緒に見ない?』
『…うん』
『うわ〜ホントだ!…キレイだね』
『キレイだね…』
・
・
・
『…ごめ…』
『…あの…』
『え…なに?夫さんからどうぞ…』
『いや…〇〇さんから…』
『じゃあ…』
『あ、ちょっ…ダチョウのどうぞどうぞ
やらないの?』
『は?…ヘタクソか!』
『しかも2人だし!』
『こういうシリアスな時に…なんだよ!』
『そしたら、なんであの時アレ言わなかったの?』
『癌です。って言われた時でしょ?』
『そーだよ!絶好のチャンスだったのに…』
『だって〇〇さん「今だ!今だ!」
って(目で)煽るから』
『そんなこと言える空気じゃなかったし…』
『そだよ。ふざけちゃいけないよ!』
『だいたい、あの医者は
いつも面倒くさそうにしてて嫌だった』
『(癌です…って)言ったら
軽蔑な目してスルーしそうじゃない?…』
『確かに…』
『ありがとね…』
『〇〇さん、怖かったけど 嬉しかった…』
『あなたの家族が…とか
医者なんだから私の命を移植しろって…』
『えっ!…夢中だったからあんま覚えてない…』
『ふふふ…めちゃくちゃ言ってんなって…』
『あの時、立ち上がったから
掴みかかるんじゃないかって
ヒヤヒヤしたよ…』
『思わず手握っちゃったじゃん!』
『俺…あの医者がもう少し寄り添ってくれてたら
抗がん剤治療頑張ってみようかなって思ってたけど
「どうせ長くない患者に」みたいな…
なんかあの態度で
あぁ…ホントに駄目なんだ〜…って』
『なんで!もうあんな医者の言うこと気にしないで』
『セカンドオピニオンしようよ‼︎』
『神ドクター探して、何県にだって行くよ‼︎』
『方法はいっぱいあるよ!』
『お金だって心配ないよ!
この時のために高い保険料払ってきたんだもん‼︎』
『せっかくのガン保険いつ使うの?』
???
『い…イマデショ?』
『そーだよ‼︎』
『うん……』
『俺、もうこれ以上痛いの耐えられない…』
『〇〇(病院)でさえやっとなんだよね…』
『それで頑張ったとしても、
伸びるの何ヶ月か、何年かでしょ?』
『だったら(余命)半年、
〇〇さんと穏やかに過ごしたい…』
『桜も一緒に見れないし…』
『私の誕生日なんか…夫さん居ないじゃん!』
😤『じゃあ、〇〇さんの誕生日まで頑張るから!』
この日から
2ヶ月ちょっとで
あっという間に居なくなった………