【ICU/CCUの急性血液浄化療法の考え方、使い方】RRTの適応
腎代替療法:RRTには当然多数のモードがあり、それをどう使い分けるのかも大切だが、とにかくICUで問題になるのはRRT、とりわけCRRTを導入するのかどうかと言う点である。 どのような場合に導入するのか、医局の後輩が全く理解していないことが最近わかり、ここにまとめることにした。renal indication と non-renal indicationよく使われる分類に上記がある。renal indicationとは純粋なRRT。緊急適応とほぼ同義であり、AKIによる重要な症状・徴候にもほぼ一致する。つまり乏尿 <200ml/12h or 無尿により、下記を来している場合。 尿毒症、高窒素血症【BUN>100mg/dl】→脳症、心外膜炎、心タンポナーデ、血小板異常による出血傾向 高K血症【>6mmmpl/l ± ECG変化】 高Mg血症【>4mmol/l ± 無尿・深部腱反射低下】 体液過剰→肺水腫、全身浮腫 酸塩基平衡異常→代謝性アシドーシス【pH<7.15】このような場合は、逆に適応に迷うことはない(値については議論が残るが)。問題はこのような絶対適応・緊急適応が無い場合にRRTの必要が出てきた場合。主にはRIFLE-F,AKIN IIIの時である。絶対適応が無い場合、以下の3点を評価、RRT導入が必要かどうか判断する。導入を見送る場合、8~12時間毎に評価を繰り返す。 循環動態安定している?:血管内volume CO MAP IAP(ACSからのAKIを考慮) 原疾患の初期治療への反応:まだ蘇生期なのか利尿期なのか AKIのRIFLE,AKINでの重症度最後にnon-renal indicationについても考慮。個人的にはnon-renal indicationでの導入はまだevidenceが弱く、基本的には行わないが、さすがに導入しないと行けない場面もある。まず絶対適応・緊急適応が無く、かつ 下記のAKI合併症※+ volume,CO,MAP,腹腔内圧に対して適切な蘇生を行い、AKI・原疾患の重傷度・経過を考慮し、初期治療への反応を見る 重度AKI;RIFLE-F,AKIN-III →RRT 軽〜中等症AKI;RIFLE-R or -I,AKIN-I or II 下記+ →RRT 下記ー →モニタリング・アセスメントを繰り返す AKI・原疾患の急激な悪化 異化亢進状態 反応不良の輸液過量 重症敗血症 permissive hypercapnia 腎予備能低下 早期腎機能の回復困難 下記のAKI合併症※ー non-renal indication+ →RRT non-renal indicationー →モニタリング・アセスメントを繰り返す ●non-renal indication限外ろ過→ 限外ろ過;反応不良の輸液過量:前医とかが過量輸液をしていて腎での利尿が間に合わない→腎機能悪化有無に関わらず導入することがある 吸着・濾過・拡散 体外からの毒素 急性薬物中毒 中毒性アルコール(メタノール、イソプロテレノール、エチレングリコール) テオフィリン リチウム バルプロ酸 造影剤 体内からの毒素 急性肝不全による内因性毒素 横紋筋融解症時のミオグロビン 炎症性サイトカインの除去;難治性敗血症性ショック 重度腫瘍崩壊症候群 重度電解質異常 体温異常最終的にはベネフィットがリスク(出血、血小板減少、導入時のvolume lossなど)を上回れば導入とする。※AKI合併症AKIは全身に影響を及ぼす。心血管系 Na・水貯留によるvolume overload、尿毒症物質による炎症 →うっ血性心不全、心外膜炎・心タンポナーデ、全身edema、高血圧呼吸器系 Na・水貯留によるvolume overload、尿毒症物質による炎症 →肺水腫、胸水(心外膜炎による)腎電解質系 水排泄×による低Na血症、K排泄×による高K血症、Cl貯留による高Cl性アシドーシス、BUN/P/硫酸塩貯留による代謝性アシドーシス →Kによる不整脈、Naによる意識障害、アシドーシスによる低血圧、BUN↑によるタンパク利用障害、低栄養血液・感染 Epo↓による貧血、vWF↓によるPlt機能×、Neut機能↓による免疫抑制 →貧血、出血傾向、易感染、敗血症誘発消化管・栄養 体液過剰、腸管浮腫による栄養障害、ACS、Plt×による消化管出血 →嘔気嘔吐、腸管蠕動低下、腸管粘膜からの吸収障害、下痢、IAP↑代謝内分泌 インスリン代謝×によるブドウ糖代謝× 低血糖神経 BUN↑/Na↓による脳症 はばたき振戦、せん妄、昏睡当然、尿量低下時の最初の戦略としては腎前性&腎後性腎不全の確認・解除(脱水の改善だけでなく、心不全の改善による有効循環血液量の改善を含む。)フロセミドトライ100mg~200mg/dayフロセミドは200mg/day以上は天井効果として利尿作用が頭打ちになることが知られている。さらに、近年の研究で乏尿に対するフロセミド投与で腎機能悪化・死亡率上昇が言われ始めている。が、おそらくvolume overload下での研究ではないし、当然腎前性にフロセミドを入れたら腎機能は悪化すると思われる。論文検索中ではあるが、それを行ってきているのがサムスカを売りたい大塚製薬なので何とも言えない。現時点では体重・バランス等のパラメータで血管内・体内volumeを評価し、overであればフロセミドトライが妥当と個人的には考えている。現時点でわかっていることとしては、 AKIで体液過剰を来している→利尿薬で高Kおよび体液過剰は改善できるが、AKI自体の予後は変えない 体液過剰・高Kの改善以外を目的にAKIでループ利尿薬を使用することは場合によっては状態を悪化する(かもしれない)