2009/01/24(土)
LEONです。
LEONです。
京極夏彦の『覗き小平次』を読み終えました。


2003年山本周五郎賞受賞作です。
嗤う伊右衛門に続く古典改作第二作です。
原作は1803年山東京伝『復讐奇談安積沼』です。
ああ、200年の時を経て・・・。
嗤う伊右衛門に続く古典改作第二作です。
原作は1803年山東京伝『復讐奇談安積沼』です。
ああ、200年の時を経て・・・。
あまりの面白さにあっという間に読み終えました。
でもあらすじを書くような無粋なことはやめましょう。
でもあらすじを書くような無粋なことはやめましょう。
ただ、巷説百物語のシリーズに登場する事触れ治平が
このお話にも出てくるんです。
第九章 九化の治平 に登場します。
このお話にも出てくるんです。
第九章 九化の治平 に登場します。
引用開始
治平は、少し前まで盗賊だった。
盗賊といっても押切でも辻討ちでもない。巾着切りや空き巣狙いでもない。
盗賊としての治平は、所謂引き込み役であった。商家などに潜り込み、
家人の信用を得ては一味を家裡に引き入れる---それが治平の仕組みの
中での役割であった。騙す、欺く、成りすます、狸の七化け狐の八化け、
九化けの治平と異名をとった程の名人である。名人であるが故に直接
斬ったはったに縁がない。普通引き込み役というのは盗みが済めば姿を
消す。しかし、治平の場合は別だった。仕事が済んだその後も、誰ひとり
治平を疑わぬ。
---己がねェからだ。
治平はそう思うている。
中略
治平は盗賊を罷めた。否、人を罷めた。治平は世を棄て、山に籠り、獣の
ように喰って寝るだけの生活を選んだのだ。
---喰って寝るだけ。
何も考えずに暫く暮らした。
あの男が来るまでの間---。
あの男。又一と名乗る若造。
引用終り
治平は、少し前まで盗賊だった。
盗賊といっても押切でも辻討ちでもない。巾着切りや空き巣狙いでもない。
盗賊としての治平は、所謂引き込み役であった。商家などに潜り込み、
家人の信用を得ては一味を家裡に引き入れる---それが治平の仕組みの
中での役割であった。騙す、欺く、成りすます、狸の七化け狐の八化け、
九化けの治平と異名をとった程の名人である。名人であるが故に直接
斬ったはったに縁がない。普通引き込み役というのは盗みが済めば姿を
消す。しかし、治平の場合は別だった。仕事が済んだその後も、誰ひとり
治平を疑わぬ。
---己がねェからだ。
治平はそう思うている。
中略
治平は盗賊を罷めた。否、人を罷めた。治平は世を棄て、山に籠り、獣の
ように喰って寝るだけの生活を選んだのだ。
---喰って寝るだけ。
何も考えずに暫く暮らした。
あの男が来るまでの間---。
あの男。又一と名乗る若造。
引用終り
小股潜りの又一に『陸奥(むつ)で大きな仕事(やま)を張るから助けてくれ』
と頼まれ、その話に乗った治平。ふたりが絡む初めての仕事が今回の
『覗き小平次』を主役に仕立てた仕掛けであったのです。
と頼まれ、その話に乗った治平。ふたりが絡む初めての仕事が今回の
『覗き小平次』を主役に仕立てた仕掛けであったのです。
さて、福島安積(あさか)沼での治平と小平次の会話。興味深いので引用
します。
します。
引用開始。
『俺の親ァな、事触れだった。事触れってなあな、ただの物乞いじゃあねえ。
元を辿れば鹿島さんのご託宣を触れ回る役だ。だがな、親父の語ってるの
は、大概が出任せだったぜ。餓鬼の俺にゃ能く判った。だがな、出任せで
言祝い(ことほい)でも、人は喜ぶぜ。有り難がるぜ。嘘も触れ回れば霊験
を顕すものよ。いいか、小平次』
治平は薄朦朧(うすぼんやり)とした暈(かげ)に手を掛ける。
『信じるってこたァ、騙されても善いと思うこと。信じ合うってこたァな、騙し
合う、騙され合うってェ意味なんだ。この世の中は全部嘘だぜ。嘘から真実
なんか出て来やしねえ。真実ってなァ、全部騙された奴が見る幻だ。だから---』
それでいいじゃねェかと治平は言った。
引用終り
『俺の親ァな、事触れだった。事触れってなあな、ただの物乞いじゃあねえ。
元を辿れば鹿島さんのご託宣を触れ回る役だ。だがな、親父の語ってるの
は、大概が出任せだったぜ。餓鬼の俺にゃ能く判った。だがな、出任せで
言祝い(ことほい)でも、人は喜ぶぜ。有り難がるぜ。嘘も触れ回れば霊験
を顕すものよ。いいか、小平次』
治平は薄朦朧(うすぼんやり)とした暈(かげ)に手を掛ける。
『信じるってこたァ、騙されても善いと思うこと。信じ合うってこたァな、騙し
合う、騙され合うってェ意味なんだ。この世の中は全部嘘だぜ。嘘から真実
なんか出て来やしねえ。真実ってなァ、全部騙された奴が見る幻だ。だから---』
それでいいじゃねェかと治平は言った。
引用終り
なんだか切ないようだけど、そんな気もするお話です。
さてこの本の各章のタイトルは登場人物の名前になっています。
木幡(こはだ)小平次
安達多九郎
槖吾(つわぶき)お塚
玉川歌仙
動木(とどろき)運平
荒神棚の多九郎
幽霊小平次
辻神の運平
九化の治平
穂積の宝児
安西喜次郎
石動(いするぎ)佐九郎
事触れ治平
宝香(つわぶき)お塚
覗き小平次
安達多九郎
槖吾(つわぶき)お塚
玉川歌仙
動木(とどろき)運平
荒神棚の多九郎
幽霊小平次
辻神の運平
九化の治平
穂積の宝児
安西喜次郎
石動(いするぎ)佐九郎
事触れ治平
宝香(つわぶき)お塚
覗き小平次
槖吾(つわぶき)お塚 と 宝香(つわぶき)お塚
宝香もつわぶきと読ませます。その心は・・・。
宝香もつわぶきと読ませます。その心は・・・。
最後の場面。治平がお塚のもとを訪ねる場面で・・・。
引用開始
庭に咲き乱れている黄色い花を眺める。
---槖吾(つわぶき).か。
宝香(たからこ)という花さと女の声がした。
振り向けば盆の上に茶を載せている。
『たからこ、ですか』
『この辺じゃ槖吾と呼ぶのだろ。おんなじものさ』
---同じものなのか。
引用終り
庭に咲き乱れている黄色い花を眺める。
---槖吾(つわぶき).か。
宝香(たからこ)という花さと女の声がした。
振り向けば盆の上に茶を載せている。
『たからこ、ですか』
『この辺じゃ槖吾と呼ぶのだろ。おんなじものさ』
---同じものなのか。
引用終り
同じかなあ?
こっちが槖吾(つわぶき)

こっちが槖吾(つわぶき)

こっちが雌宝香


どうでもいいか・・・。