第7回 百器徒然袋 雨 | ちょい悪爺LEONのブログ

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大阪フィルハーモニー交響楽団のファンで、その演奏会を中心に投稿します。写真撮影は公共交通機関を利用して行ける所を中心に復活しましたが、写真はインスタにpostしています。
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2008/12/04(木)
LEONです。

京極堂シリーズ 2回目読んでいます。

作者京極夏彦氏自ら名付けたわけではないらしいのですが、
主人公京極堂にちなんで、そう呼ばれています。

ちょっと整理しますと

姑獲鳥の夏(うぶめの夏)
魍魎の匣(もうりょうのはこ)
狂骨の夢(きょうこつのゆめ)
鉄鼠の檻(てっそのおり)
絡新婦の理(じょろうぐものことわり)
塗仏の宴(ぬりぼとけのうたげ)
陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず)

がそのシリーズといわれています。
また、そのサイドストーリー的な位置づけの短編集が
百鬼夜行 陰で、このシリーズにつづきます。

今は2回目で狂骨の夢を読んでいます。

さらに平行して、この後に続く榎木津シリーズも読んでいます。
主な登場人物は基本的に変わらないのですが、

京極堂シリーズでは、

古本屋『京極堂』の主で、
その裏にある『武蔵晴明社』の神主であり、
憑き物落し『陰陽師』を裏稼業とする
中禅寺秋彦
憑き物を落とす手法で事件を解決していきます。


それに対し
榎木津シリーズでは、

探偵---榎木津礼次郎の大暴れで事件を破壊していくのですが、
結果的には事件が解決していくのです。

引用します。

眉目秀麗にして腕力最強。上流にして高学歴。破天荒にして非常識。
豪放磊落にして天衣無縫。世の中の常識が10割通じない。怖いもの
などひとつもない。他人の名前を覚えない、他人を見たら下僕と思う
---調査も捜査も推理もしない、天下無敵の薔薇十字探偵。

特筆すべきは、榎木津の得意な能力です。
他人の記憶を映像で見ることができるのです。
これが事件の解決の糸口を見つけてくれるというシナリオです。

映画化された姑獲鳥の夏(うぶめの夏)魍魎の匣(もうりょうのはこ)では
安部 寛が演じています。

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さて・・・、
榎木津シリーズは次の六つの中編で構成されています。

百器徒然袋――雨
鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱
瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤
山颪 薔薇十字探偵の憤慨

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百器徒然袋 -風
五徳猫 薔薇十字探偵の慨然
雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑
面霊気 薔薇十字探偵の疑惑

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今は、を読み終わってを読み始めたところです。
雨の三作品について触れて見ます。

1.鳴釜 薔薇十字探偵の憂鬱

鳴釜
鳥山石燕『画図百器徒然袋』より

イメージ 4


釜をかぶった毛むくじゃらの姿の妖怪が、絵馬を手にして吉凶を占っているような姿で
描かれている。岡山県の吉備津神社の鳴釜神事が由来とされる。
同神事は、かつて吉備津彦命に討たれた温羅が人々に託宣を下す神となり、
釜の音で吉凶が告げられるようになったことが始まりという説があるが、妖怪の鳴釜は
この伝説をもとに、温羅を釜の付喪神として描いたものだという。
注)付喪神=器物が変化した妖怪

あらすじ
電機配線の図面引きを生業とする「僕」は姉の娘・早苗が輪姦され、妊娠した事を知る。
告訴しようにも相手は政治高官とその取り巻きの息子達で門前払い。八方塞がりの中、
知り合いの大河内から探偵・榎木津礼二郎を紹介されたのだが…。

京極堂がこの岡山吉備津神社の鳴釜神事をモデルに吉凶を占うという手法を使い、
榎木津が人の記憶を映像で見ることができる才能を生かし加害者を割り出し、
大暴れして懲らしめるというお話しで、痛快なストーリーに仕上がっています。

2.瓶長 薔薇十字探偵の鬱憤

瓶長
鳥山石燕『画図百器徒然袋』より

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水瓶が目鼻と口を備えたような姿で描かれており、石燕の解説文によれば、
瓶の水を汲んでも決して水が尽きることのない、いわば幸せの入った瓶とされている。
水瓶が歳月を経た末に魂を持った付喪神(器物が変化した妖怪)で、
水を自在に操る能力を持つとの解釈もある。

ちなみにLEONは幸せのなめらかプリン工場なる密が尽きることのない壷
知っています。

あらすじ
鳴釜事件の礼を言いに薔薇十字探偵社を再び訪れた「僕」。
しかし、榎木津は父親から「青磁の甕(かめ)を探してくれ」と頼まれてご機嫌斜め。
しかも、その背景には泰(タイ)国との条約締結が絡んでいる模様。
意中の甕がある可能性がある、憑物落とし・中禅寺秋彦が別件で関わっているという
「赤坂の壺屋敷」に「僕」は独断で向かうのだが…。

榎木津の父は実際カメ(亀)も探してくれと依頼をしていて、このカメも絡んで大混乱。
軽妙なストーリーで非常に面白く仕上がっています。

3.山颪 薔薇十字探偵の憤慨

山颪
鳥山石燕『画図百器徒然袋』より

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山颪(やまおろし)は、鳥山石燕による妖怪画集『画図百器徒然袋』にある
日本の妖怪で、おろし金の付喪神(器物が変化した妖怪)
おろし金を頭に頂いた人型の妖怪として描かれ、頭部にはおろし金の無数の
突起が毛髪のように並んでいる。

同画図の解説文ではこの妖怪を豪猪なる獣にたとえているが、
江戸時代の百科事典『和漢三才図会』では「豪猪」はイノシシのような獣とされ、
背に約一尺(約30センチメートル)の針が生えており、豪猪が怒るとこの針を
矢のように飛ばすと語られている。これは現在ではヤマアラシのことと推察されており、
石燕はおろし金の突起をヤマアラシの刺にたとえ、このような妖怪を創作したとされる。

あらすじ
紙芝居描きを生業とする幼馴染の近藤から「新作の参考にしたい」と榎木津への
取材を依頼される「僕」。とりあえず、中禅寺秋彦の元に向かったのだが、
彼はかつての事件で関わった僧から自分のいない間に友人の僧に関して
不可解な状況が生じていると相談されていた。その上、その人物がいた寺は
現在一種の美食倶楽部の会場と化しているらしい。一方、榎木津は榎木津で
依頼であるペットのヤマアラシ捜索に奔放しているようだが…。

この話のなかでまたまた京極夏彦氏の博学ぶりを見せつけられました。

引用します。
『中禅寺さんの話だとね、薬石と云うのは禅寺で云う夕食のことらしいんだがな。
その昔、禅僧は一日一食だったんだそうな。それでね、冬なんか寒いし、まあ
腹も減るわな。そんな時に温めた石を懐に入れて、飢えや寒さを凌いだんだそうだ。
この石は飢えや寒さを凌ぐ薬だ---と云うので、薬石と呼んだのだそうだよ。
これが懐石料理の語源だそうでね』