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10年以上前の話です。
当時、私は詩を書くのが好きで、細々と作品を書きためていました。

ある時、新聞広告で、A出版社主催のコンテストを見つけました。小説から詩や俳句、エッセイ等ジャンル問わず募集しており、入賞者には、賞金の他に、本が出版されるとのことでした。

今でこそ、私は、ネットをただ自分の叫びのために利用していますが、当時の私は、誰かに認められたい、私の作品を見てもらいたいと、承認欲求が強かったように思います、、、笑
そのため、本の出版が、非常に魅力的にうつりました。

書きためた詩の中で、お気に入りを厳選し、何度も推敲を重ねて応募をしました。

A社からは、一次選考通過の手紙が届き、二次、三次と通過の連絡がきました。しかし、最終選考手前で落選したのか、その後連絡はありませんでした。
ただ、選考結果をA社のホームページか何かで知り、最優秀作品の紹介(たしか、イラスト付きのエッセイだったように思います)を見た際は、本当におもしろそうな内容で、最優秀であることはもちろん、出版化も納得の作品でした。
書店に並んだら、是非購入したいと思っていました。

そして、コンテストの存在を忘れた頃、出版社から手紙が届いていました。
内容は、「惜しくも選考からははずれてしまいましたが、桃山様の作品に素晴らしいものを感じました。共同出版という形で、出版されませんか?○万円くらいから出版できます。ご連絡お待ちしています」といった内容だったように思います。(金額の部分の記憶が怪しいのですが、頑張ればなんとかなりそうな、微妙な価格だったように思います(笑))

当時、本を出版したいと思っていた私は、とても揺れました。
今思えば、無名の著者が詩の本を出版したとしても、購入どころか、手にとってもらえるかさえ怪しいのに、出版をすれば、多くの人に見てもらえると思い込んでいました。

額も額であったため、とりあえず母親に相談してみたところ、母親からは「やめなさい」とピシャリ。
「出版社から、お願いですからどうか出版させて下さい!、と言われるレベルにならなければ、今の状態で出版しても売れるわけがないでしょう?」とのことでした。

いつも否定されることが多いため、覚悟はしていましたが、何故かこの件に関しては、モヤモヤすることなく、たしかにその通りだなと素直に思えました。


その後、A社からは特に連絡もなく、私自身も、共同出版のことは、すっかり忘れていました。
ただ、気になることとしては、是非読みたいと思ったコンテストの最優秀作品が、1年以上待っても本屋さんに並ばないため、編集作業等に時間がかかっているのかなと思っていました。

そしてその後、コンテストを主催していたA社が、著者との出版トラブルを起こしており、結果として破産したことを知りました。

詳細は不明ですが、共同出版を持ちかけた際に、決めた部数よりも発行数が極めて少なかったり、全国の書店に流通させるという約束のはずが、流通されなかったりしたようです。

ふと気になって、コンテストの最優秀作品を調べてみたところ、インターネットでは販売されていたため、出版はされたようですが、近くの本屋さんをはじめ、主要駅の大きな本屋さんでも、見かけることはありませんでした。


もしあの時、私が共同出版を選んでいたら、トラブルに巻き込まれていたかもしれません。
この件については、私の目を覚ましてくれた母親に、感謝しています。


※あくまでA社の事例であり、共同出版が全て詐欺ということではありませんので、ご注意下さい