出逢ったのは5年前の夏だった。
ちょっとした不順な動機だったけど、俺の全てがその人に惹かれた。
もちろん、猛烈アタック。
でも、歳が離れてるって理由で全く取り合ってくれなかった。
それでも俺は一緒に居れれば良かったし、同じ空間を共有しているだけで幸せだった。
知り合ってから、相手も忙しくしていて、休みも殆ど俺とのデートに費やしてくれてた。まさに友達以上恋人未満って言葉が当てはまってたと思う。
そんな関係に変化が出たのは去年の春が終わりかけた頃。
やっと付き合ってくれる事になった。(色んな事が重なったのもあったけど)
でも、それから直ぐして俺は海外へ
取り敢えずそれまで何にも目標の無かった俺は、海外って言う場で違う事に触れて何かを見つけたかったんだと思う。
「1年間だけ頑張ってくる」
と言い残して日本を去った。勿論1年待つと言ってくれたから、毎日メールとごく稀に電話は欠かさなかった。
初めての長期滞在の地で何かある毎に弱音を吐いたメールを送ってた。
その都度
「無理しないで帰って来ても良いんだよ」
って優しく励ましてくれてた。どんなときでも俺の事を想ってくれてた。
帰る場所がある人は強いと俺は思う。戻る場所がある人は最後まで頑張れる気がする。
結局1年間一度も帰国する事も無く、無事に頑張り抜けた。
けれど、語学力と言う部分では未だに問題が残る。だから折角海外に滞在して底上げした語学力を、帰国する事で下げたくなかった。(勿論日本でも語学はヤル気次第で上がるけど、俺は現地に飛んでネイティブに触れた方が伸びるタイプなので・・・)
そして、1年も待ってもらって、もっと待ってもらおうなんて思う事は止めた。
だってそれこそ枷になる。双方にとって、枷の無いフラットな状態の方が良いと思った。
だから新たな生活に踏み出してもらいたかった。
なのに、互いに想い過ぎて俺が日本を出る明日までは付き合っていようって。
昨日が顔を見られる最後の日だった。
朝早くから特に何ともなくデート。
街ブラして買い物して食事して・・・
呑んでカラオケ
でもね、そのカラオケが良くなかったな。
途中から込みだして来ちゃって歌も歌えない状態。
必死で歌う俺は声が震えちゃって逆効果・・・
で、その後終バスを一緒に待ってくれてたけど、俺は泣き出しそうになって言葉が出ない。
向こうも同じみたいだった。
あ~明日なんて来なければいいのに
って思った。
バスが駅のロータリーに入って来て
「あ~来ちゃったね」
って。
「うん」
「元気で、頑張って。」
って言ってくれて
「ありがとう」
って言い切るのに必死だった。
発射まで俺は涙をポロポロ流しながら、携帯のメールを打つ
「ありがとうございました」
向こうは俺の顔を見ながら涙を拭いては拭いてた。
バスが発車して直ぐに。
「たくさんありがとう」
ってメールを受信。
俺ってこんなに沢山愛されてるって思うと今でも込み上げて来る。
明日は携帯も解約するし、お互い別々になるけど、ずっと先まで引きずる恋だと思う。
今はこの気持ちだけを大切にしていたい。