岩脇 一喜
SEの処世術

まず第1章のサラリーマンとしての処世術の

「上司のために働け」といった内容が疑問。

これが動機付けになる人っているの?と思った。


著者が上司に恵まれていたということは理解できたが、
多くは尊敬できる人なんていないという人が多いのではないだろうか。


そういう人はさっさと会社を変えるべきとあった。ちょっと厳しい。

第2章の職人論は、確かにミクロ(個人)レベルで考えると納得できる考え方だと思う。

職人になることに越したことはない。

ただ、マクロ(会社、業界)レベルで考えるとかなり疑問が残る。


現在のようにシステムが巨大化、多様化する中では、

SE、プログラマの需要は少なくない。今後はますます増えていくだろう。

需要が多くなると全体としてSEのスキルレベルは普通下がる。

しかも各人持っているスキル、仕事に対する価値観は多様化する。

そのように考えると、各人が日々最新技術をキャッチアップし、

完全主義を目指すことは現実的ではないし、そもそも不可能だろう。


そこではやはり、著者が否定している開発方法の標準化や支援ツールの利用で、

システム開発を効率化していくことが現実に即していると思う。


標準化はSEのスキルレベルを一定にし、かつ、ある程度まで高めてくれる、

非常に合理的な考え方だからである。

そのとき、SEのユニークなスキルが捨てられてしまうとかスキルの幅が広がらない

といった弊害が起こるかもしれないが、それはある程度仕方のないことだ。


この業界はまだ日が浅く、標準化が必要なレベルまでしか進歩していないのである。

もちろん将来的には、著者が言うように1人1人が職人でないとやっていけない日が

来るのかもしれないが、それはこの業界に関しては時期尚早だろう。