2024/4/7


今日は姉2人含めた家族5人でボウリング場へ遊びに行った。

出発前に玄関で家族写真を撮った。

それほど仰々しいものではない。

スマホの自撮りのような感じ。

どこかみんな、元気な姿の母を見るのはこれが最後だと思っているのだろう。

ステージ4の膵臓がんに対して抗がん剤治療になるので、現実的に言えば確かに気持ちはわかる。


会場につくと大会が行われているようで1時間待ちになった

母に会いにくると言っていた自分の従兄弟がボウリング場へ足を運んでくれた。

話をする時間も出来たのでちょうどいいかもしれない。


時間になり、ゲーム開始をするといつも通りの母の姿は変わらなかった。

笑顔で元気にボールを投げている。

こんな姿を見ると、やはり自分は次に会う時にみんなが思うほど変化があるとはあまりにも信じられないのだ。

1ゲーム終了した時点で2番目の姉が電車の時間に近いからと帰ることになった。

ボウリング場を後にする前に母と抱き合っていた。

ぽんぽんと背中を叩きながら姉が子供のように顔を母の肩元にうずめていた。

何を話したのかは聞いていない。

きっと姉なら、鼓舞するような言葉をかけたに違いない。

車を停めている駐車場まで自分が姉を見送りに行った。

1番上の姉が駅まで送るので兄弟3人で駐車場へ向かった。

「大丈夫。母さんなら何クソ根性で乗り切れる。」

だから心配しないでと自分は姉に言って見送った。


ボウリング場へ戻って、今度は家族3人でゲームを続けた。

ここから変化があったように自分は感じた。

2人がいなくなったからか、笑顔が少なくなり、投げる球にも力が入らないように見えた。

ストライクやスペアを取ると笑顔を見せるが、いつもならミスをしても悔しそうな笑顔を見せるのに、無表情だった。

どこか心ここに在らずのようだった。

自分で言うのはあれだけど、自分は観察眼が優れていると思っている。

それでも自分は母の投球がどういつもと違うのかを気持ち以外の面でアドバイスした。

いつもどおりに。


5ゲームしたが、母のアベレージは自分が参加しだして最も悪いスコアだった。

おそらく体力が問題じゃない。

どう見ても気持ちだとは思っていた。

口にはしないがおそらく母も自分で分かっているだろう。


夕飯の時間。

昨日のすきやきの残りの肉で焼き肉を作ったようだ。

いつも通り、母の料理は美味しかった。

「明日から入院だよね?」

と話を切り出した。

すると明日からのスケジュールを見せてくれた。

いよいよ抗がん剤との闘いが始まる。

治療の内容や抗がん剤の内訳など色々みた。


母本人には始まる直前まで言わないでおこうと思っていたが、ここで言おう思った。

「大丈夫!母さんの精神力なら切り抜けられる!婆ちゃんと喧嘩してた時の根性で、何クソ根性で乗り切ろう!」

「母さんには幸運にも趣味が増えた。まだまだやりたいことがたくさんあるやろ?ボウリングだってまた絶対に行くんよ!」

「畑だってせんといかん。俺は母さんを気遣いはしない!応援して鼓舞し続けるよ!」

まるで昭和の野球部のように家族3人で決起集会をした。

母さんにはこれが1番いい。

そう確信している。

そう告げて、YouTubeで見つけた同じ膵臓がんステージ4から克服の兆しが見えているYouTuberを紹介した。

治療の内容を見て欲しいとかじゃない。

マインドセット的な意味で見てほしいと。


明日から本当にガンとの闘いが始まる。

問題がなければ一週間後に一度退院になる。

絶対にまた一緒にボウリングするよと約束をした。