【妄想ガール】
眠らぬ街のシンデレラ~廣瀬遼一&…~
妖かしの夜⑱
カジノ会場を後にしたオレは……
妙な胸騒ぎがしてアイツのいる部屋へと急いだ
ポケットにあるカードキーを差し込むと、扉はすぐに開いた
メインルームを抜け、一番奥の部屋へと向かう
ガチャ……
扉を開け、姿を探す
「ふぅ~」
ベッドで眠るその姿がすぐに目に入ると、オレは大きく息を吐いた
「……まさか……」
(そこにいないわけがないのに、オレは何考えてんだか……)
「寝てる、よな……」
オレは安堵の表情を浮かべると、ゆっくりベッドへと近づき、
そして、アイツの顔にかかった髪の毛を手ではらった
(ん? 泣いてたのか…?)
はらった髪の毛が微かに湿り、目じりには涙の流れた跡が残っていた
その跡を指でなぞり、そのまま手のひらで頬を包み込む
(マリア……)
━─━─━─━─━─
「う、ん………」
頬を包む手の感触の心地よさに、意識が呼び起される
「わりー……起こしちまったか……・」
聞き慣れた優しい声が耳に届く
(!?)
(遼一さん!?)
私は急いで目を開けた
ゆっくりと外が白んでいる―――
朝焼けに照らされた、まだほんのりと薄暗い部屋の中で……
でも、はっきりと目の前に映る優しい顔……
「遼一さん!?」
私は勢いよく起き上がると、そのままその胸に飛び込んだ
「……お、おい、どうした?」
「……怖い夢でもみたか…?」
私はハッとして身体を離す
「う、ううん……」
「あ、あの……私……」
「ん? お前……服着たまんま寝たのか?」
「しわになっちまっただろ?」
「え? 私……」
私は自分の身体を、確認するかのように見下ろした
「ホントだ……服着たまま……寝ちゃったんだ……」
「未来が言ってたけど……お前、ホントに疲れてたんだな……」
「…………」
「悪かったな、ほったらかしにしちまって………」
思いがけないその言葉に、私は首を大きく左右に振った
「あ、あの……遼一さん、もしかして………」
「今、戻ったの?」
「ああ、ったく……、もうすぐ4時半だぜ?」
「……こんなに手こずるとはな………」
「でも、勝ったから……安心してもう少し寝ろよ」
「あとでたっぷり可愛がってやるからな!」
「………」
その時の私は、遼一さんの言った言葉の意味を、すぐに理解することができなかった
「あ、あの……途中、この部屋に戻ったりは………」
「ん? いや、今きたところだが……どうした?」
「……う、ううん、何でもない」
私は、彼の言葉も……自分の言ってる言葉も……
何を言っているのか……何を言いたいのか……
それさえも………頭の中で繋がらずに
真っ白になって……
全てがわからなくなっていた―――
⑲につづく………
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またまた、お待たせしてしまってごめんなさい!
(前回のお話…忘れちゃいましたよね……)
この回で、終わるかと思ったのですが……
やっぱり、終わりませんでした~~