【妄想ガール】
眠らぬ街のシンデレラ~廣瀬遼一&…~




妖かしの夜⑦



緊迫した空気の中、ゲームは進んでいく

3人とも、お互いをけん制しあいながらも表情は全く崩さずに……


(あ~もう見てるこっちがもたないかも……)

グラッ…

(………ん? あ、あれ…?)
(なんか、目の前が………)



緊張しすぎたせいなのか………

なぜか目の前が霞んで見える
心臓は早鐘を打つように、呼吸がはやくなってくる


(え? 私…どうしちゃったの…?)
(…遼一さ…ん・・・・・・)



目の前が真っ暗になりかけた時、


「マリアさん? どうしたんだい? ……顔色が……」


「ちよ、ちょっと、気分が……」

「マリアちゃん、大丈夫?」

「……う、ん」


視界には私を心配そうに覗き込む千早さんと、未来くんの顔がうっすらと見えた





二人は私をその場から離れ、ゆったりしたソファのところに連れて行ってくれた
ソファに腰を下ろし背もたれると、千早さんが水を飲ませてくれる


「大丈夫かい?」


「は、はい……」

「軽い貧血かもしれないね」
「少し横になって休んだ方がいい…」



千早さんに、応急的に診てもらっていると、


「マリアさん!!」


血相を変えた皐月さんが、走ってくる


「倒れられたと聞いて……千早、マリアさんの容体は…?」

「大丈夫だ、軽い貧血を起こしただけだから、少し休めばよくなるよ」

「そ、そうか…よかった」

「すみません…お騒がせしてしまって……」


安堵の表情を浮かべる皐月さんに、申し訳なさがこみあげてくる


(こんなにも心配させてしまって……)

「いえ、謝らないでください」
「マリアさんが無事で、本当によかった…」


「ここではゆっくり休めないでしょうから、お部屋にお連れいたしましょう」
「その方がいいだろう?千早」

「そうだね、その方がいい」

「じゃ僕、遼くんに伝えておくよ」

「あ、未来くん、遼一さんには、急に眠くなったから…って言ってて」
「心配かけちゃうと、ゲームに響くと悪いから……」


「OK、マリアちゃん!」
「任せといて!」

「ありがと」




遼一さんのゲームが気にはなったけど、こんな状態の私を見たらきっと…
ゲームに集中できなくなる
そう思った私はとっさに思いついた嘘で、その場を後にすることにした



「じゃあ、マリアさん、お部屋まで案内します」


「はい……」


千早さんと未来くんにお礼を言うと、
紳士的にほほ笑む皐月さんとともに、私はカジノルームを後にした







⑧につづく…