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~ノーマルEND~
総司さんが連れてきてくれたのは―――
最近できたばかりの、夜景が綺麗なレストランだった
案内された窓際の席からjは、宝石を散りばめたような美しい光景が目に飛び込んでくる
「素敵ですねぇ~……」
「気に入ったならよかった」
思わずうっとり窓からの光景に見入っていると、総司さんの手がそっと腰に添えられ、テーブルへとエスコートされる
「ようこそおいでくださいました」
「今宵は、白金様からのリクエストにより、一夜限りのスペシャルメニューをお楽しみください」
「えっ……」
ウェイターの言葉に、思わず総司さんを見ると、総司さんはフッと表情を和らげて言った
「せっかくのホワイトデーだ、お前の好みを取り入れて、コースを組み立ててもらったんだ」
「…嬉しい……ありがとうございます!」
「お前からは何ものにも代えがたい、心のこもった贈り物をもらった」
「これは、その礼だ」
「総司さん……」
乾杯のためのシャンパンが運び込まれ、ホワイトデーディナーが始まった
前菜のサラダと鴨のバロンティーヌに始まり、黄金色に輝くコンソメスープ、シーフードグリル…
口直しのグラニテ、そしてメインディシュの仔牛のポワレ―――
今夜のために用意された料理の数々を、心ゆくまで楽しんだ
「すごいです、どれも好みの味付けで……」
「もうずいぶん色々な場所で食事をしたからな、お前の好みはだいたい把握している」
(あ……)
何気なく言われたその一言に、胸が高鳴っていくのが分かる
「……嬉しいです、そんなふうに覚えてもらえて……」
思わずつぶやくと、総司さんはクスッと笑みを零した
「お前だって同じだろう?」
「オレが好きだと言ったものを覚えていて、また食卓に並べてくれる、オレがしていることと変わりないじゃないか……」
「……っ」
微笑まれ、胸を締め付けられるような感覚を味わった
「一緒に食事をする相手の好みなんて、仕事に必要なデータの一つと考えていたが……」
「そんなことでも喜ばせたいと思えるのは、相手がお前だからだな」
「……っ、総司さん……」
視線が絡み、頬が紅潮するのが分かる
そんな私を見つめ、総司さんはどこか嬉しそうに微笑んだ
「本当に……お前に出逢わなければ知らなかった感情だらけで驚いている」
困ったようにため息をつく総司さんは、それでもどこか嬉しそうな表情をしていた
目頭が熱くなるのを感じて、慌てて視線を夜景に移す
まるで一緒に過ごした時間の縮図のような料理を想いながら、
窓に映る自分の顔が、心底嬉しそうに綻んでいるのを見つめていた……
イケない契約結婚
(C)Arithmetic
≪⑤グッドエンドへつづく≫