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坂井たちに店を追い出されてしまった有馬が考えるのは……?

甘く香るバレンタインで明らかに……


バレンタインイベント 開催!

バレンタインを有馬と一緒に過ごそう♪





期間限定☆有馬志信とバレンタイン 




                   





二月に入ったある日のこと―――


「よし、こんな感じでいいな」

「しゃ、社長っ!? なにやってるんすかっ!!」


有馬が一息ついてパソコンの保存ボタンを押すと、坂井が焦った様子で駆けつけた


「見りゃあわかるだろ…バレンタインイベントの準備だ」
「イベント告知用のHPとフライヤーはこんな感じで………」

「そ、そう言うことを聞いているんじゃないっすよ!」

「ん?」
「じゃあ、なんだっていうんだよ、坂井!」


珍しく有馬の言葉を遮る坂井に、怪訝な表情を向ける


「お前…オレのやることに文句つけんのか?」

「そ、そんなんじゃ…ないっすけど……」
「と、とにかく! ここは他のヤツに任せて早く帰って下さい!」

「…何でだよ……」

「いいから、お願いします……!」

「…………」


やけに必死な坂井の様子を、有馬が不服そうに見つめる


「今年は俺たちだけで…このイベントを成功させてみせますから…」
「……社長は大船に乗ったつもりで見ててくださいよ」


半ば強引に背中を押される形で、有馬は渋々イベントの準備をスタッフたちに譲った


「……分かったよ、その代わり……ヘマしたら承知しねぇからな?」

「は、はい……! お疲れ様でした!」


恐縮した様子の坂井を一瞥して小さく笑みを零し、有馬は出口へと向かった



「……せっかく手が空いたんだ、今年はアイツのためだけに…何かしてやるか」




×  ×  ×  ×



「こんにちは!」

「あ、マリアさん、お待ちしてました!」


この日、ある”使命”のために志信さんの店を訪れると、坂井さんをはじめとするお店のスタッフたちが笑顔で出迎えてくれた


(…志信さん、もう帰ったのかな……?)
「あの…志信さんは……?」

「それなら大丈夫!」


問いかけるのと同時に、店の奥から聞き覚えのある声が聞こえた


「計画どおり、志信さんはもう帰ったよ!」
「俺が到着する前に、坂井さんが帰らせてくれたんだ」

「十真くん……!」


店の奥から登場した十真くんに、慌てて頭を下げた


「待たせてごめんなさい、私からお願いしておいて……」

「いいよ、たまたま仕事が早く終わったから早めに来ただけだし……」


十真くんはニコッと笑い、私が手にしていた紙袋を指差した


「それより、早く始めようよ」
「…勘の良い志信さんのことだから、いつ戻ってきてもおかしくないしね…」

「うん、よろしくお願いします」


こうして十真くんと待ち合わせするようになったのは、数日前の出来事が発端だった




×  ×  ×  ×



数日前、お店を訪れた時のこと――――


「マリア、遅かったな」

「ごめんなさい、少し遅れちゃいました…」

「こんばんは、マリアさん」

「十真くん……!」


志信さんとの待ち合わせでお店に到着すると、そこには同じテーブルで飲んでいる十真くんの姿があった


「マリア、来てそうそう悪いんだが……少し向こうの客の相手をしてくる」

「あ、はい、私のことは気にしないで下さい」


申し訳なさそうに言う志信さんにそう伝えると、ふいに伸びてきた十真くんの手に腕を掴まれた


「と、十真くん?」

「マリアさんは俺が相手しておくから、志信さん心配しないで行ってきてよ」


十真くんは私の腕を掴んだまま、立ち上がった志信さんを見上げた
口元に緩やかな笑みを浮かべる十真くんを見て、志信さんが眉をひそめ、小さくため息を零す


「すぐ戻るようにするから……」
「おい十真、あんまりコイツにちょっかい出すんじゃねぇぞ!」

「了解、了解」

「…お前も、売れっ子アイドルに口説かれてもフラつくなよ?」
「お前は…オレのなんだからな」

「…っ、し、志信さんっ……」


私にだけ聞こえるように耳元で囁かれた最後の一言に、一瞬にして頬が熱を帯びるのを感じた


「はあ…まったく、志信さんって、いつからこんなに嫉妬深くなったの?」
「俺相手に…あんなに牽制しちゃって……」


志信さんを見送り、そんなことを呟いた十真くんが、ふいに視線をこちらに向け、意味深な笑みを浮かべる


「…で、マリアさんは何を用意したの?」

「……え?」

「まさか…まだ何も用意してないとか言わないよね?」

「えっと、あの……?」


何のことを言っているのか、まったく分かってない様子の私を見て、十真くんは目を丸くした


「……なんか、志信さんに同情するかも……」


呆れたようにそう呟くと、十真くんは真剣な眼差しをした


「もうすぐ、一年の中で一番女性が気合いを入れる日でしょ!」

「……あっ! そういえば、バレンタイン!!」

「そう、バレンタインだよ」


ようやく理解すると、十真くんはどこかワザとらしく拍手をした


「……ここのところちょっと忙しくて……忘れてました……」

「じゃあ、まだ何も用意してないんだ?」

「……はい」

「志信さん……がっかりするだろうな~」

(どうしよう……)

「ねえ、マリアさん」


落ち込んで俯きがちになった私に、腕組みをしたままの十真くんが何かひらめいたように声を上げた


「もし、マリアさんさえよければ、俺が手伝おうか?」

「えっ?」


驚いて顔を上げると、十真くんはどことなく得意げな表情を浮かべていた


「こう見えても俺、料理は得意な方なんだ」
「志信さんの好きそうなものを作るなら、俺が教えてあげるよ」


こうして、志信さんにあげるためのバレンタインチョコ作りは、十真くんの協力を経て実行に移されることになったのだった―――







≪②につづく≫





イケない契約結婚
(C)Aritemetic





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総司さんに引き続き、志信さんバレンタインで~す!!


志信さん、なんかすっごい久しぶりなので……
ちょっとどんなキャラだったのか忘れてしまってたところもあるのですが……

総司さんに負けず劣らず、ヤキモチ妬きだったはずですよね~~
それに……・(///∇//)

総司さん同様、こちらもPEとることができたので……

甘~い志信さん、ご堪能下さいね!!