④はこちら…★





【イケ契】
Another Story……⑤





キキィー!!!



「マリアー!」


車が乱暴に停まる急ブレーキの音がした……と同時に、私の名前を呼ぶ声……


「…志、信さん……?」


声がした方に振り返ると、慌てた形相でこちらに駆け寄ってくる志信さんの姿があった



「マリア……」

「…………どうして、ここが?」

「お前の実家に近い公園を、全てあたった…」

「……な、なぜ?」


志信さんは、その問いには答えずに、涙でぐしゃぐしゃになった私の顔を一瞥すると、

「帰るぞ」と一言だけ言い放ち、強引に私の手を引っ張った


「……いっ……は、離して下さい……」
「私は…もう、あの家には……」

「……契約を破るのか?」

「そ、それは……・・」



私はそれ以上、言葉を続けることが出来なかった

『契約』その言葉だけが、重くのしかかっていく……・


(私には……選択する自由などないのだから………)




×  ×  ×  ×




家について部屋に入ると、志信さんはベッドに腰を下ろし、手を伸ばした

私は咄嗟に、身構えてしまう


「マリア…」


てっきり、『怒鳴られる』と思っていたのに、私の名前を呼ぶ優しすぎる志信さんの声に、思わずドキッとしてしまう……

そして、その声に誘われるがままに、伸ばされた志信さんの手に自分の手を重ねた

すると志信さんは、まるで壊れそうなガラス細工でも扱うかのように、優しく私を引き寄せた



「…志信さん、怒ってないの…?」

「ん? どうして怒らなければいけないんだ?」
「お前……オレに怒られるようなことでもしたのか…?」

「……家に…帰りたくないって…」

「…でも、帰ってきた…だろ?」

「………っ!」
「私……志信さんと一緒にいるのが、辛いんです!」
「辛くて…苦しくて……・気が変になりそうなんです……」

「……俺のせいか…?」

「それは………」



堪えていた涙が、再び頬を伝う


志信さんは私の肩に手を回し優しく抱きしめると、


「……俺には、どうすることもできない…、お前の気持ちに応えることは………できないんだ」

志信さんの口から発せられたその言葉は、


『俺たちは、契約で結ばれただけの関係なんだから……』


そう言ってるような気がした……



志信さんの腕の中で、声を殺しながら嗚咽する私の背中を、志信さんはずっとあやすように撫でていてくれた

それはまるで……泣きじゃくる子供をあやすように、優しくて、温かくて……


でも、それは…
今の私にとって、その行為は……
より辛く、より切ないものとなっていた……





≪⑥につづく≫





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このAnother Story…
忘れずにいてくれて、ありがとうございます☆
(1か月も放置したのに……(;^_^A)

今思えば…これを書き始めたころは……
毎日が切なくて切なくて…苦しい日々を過ごしていたんだな~~と、
あの頃の記憶が思い出されます。

その苦しく切ない気持ちをなんとかしたくて、書き始めたはずだったのですが……
はあ~~、このお話も…なんと切ないことでしょう……

書いててもね~~なんか胸が苦しくなってくるというか…
(THE 感情移入!)

なんとか脱出しなければ