第10話①はこちら…



「イケない契約結婚」有馬志信

~第10話:有馬の憎しみ…そして父親への復讐②+~




「私にも、できる限り協力させて下さい」

「しかし……」

「私は、志信さんの妻なんだから……夫を手伝うのは当然のことでしょう?」


契約結婚――
それは…お金によって結ばれた関係から始まった…

それでも、志信さんと一緒に過ごしているうちに……
私の中には、お金ではない、それ以上の感情が芽生えていた
たとえどんなことであったとしても、志信さんの力になりたい


「その話、俺にも混ざらせてよ」


不意に背後から声が響いた
そこにいたのは……


「十真くん……!?」

「お前……聞いてたのか?」

「うん、ごめん…白金さんが出て行ったところから……聞いてた…」


それなら…ほとんどの話を聞いていたと言ってもいい


「俺にも復讐を手伝わせてよ、志信さんを苦しめた奴なら、俺だって許せない」

「しかし……」

「俺を巻き込まないように、って思ってくれるのは嬉しいけど……」

「十真くん……」

「蚊帳の外で安全でいるより、危険でもいいから、志信さんの力になりたい」
「俺、本当に志信さんのこと兄貴みたいに思ってるんだ」


真っ直ぐな瞳で志信さんを見つめる十真くん、
もう、決意を固めている瞳だと思った


「志信さん……」

「ああ」

志信さんも、決心したかのように頷いた


「十真、これから、忙しくなるぞ」


志信さんの言葉に、十真くんは途端に笑顔になった


「うん!」

「マリアも、な」

「はい……!」


そして、予感があった……

この復讐を終えたときが、私たちの契約が終わる時だと……



×  ×  ×  ×



それから……私たちの周りは急激に変化していった


私は、仕事を辞めた

「いいのか?」

「はい、もうこれ以上休んでいたら、どうせクビになっちゃうだろうし…」

(これ以上会社に迷惑をかけることはできない……それに仕事をしながらでは、十分な志信さんのサポートはできない)


「……悪いな」

「そんなこと言うなんて、志信さんらしくないですよ」

「ふっ、そうかもしれないな……」



そして、私が最初にやったことは、膨大な資料をまとめること

志信さんの手元には、神山 巌の情報がたくさんあった
夜の世界で働くことで、神山の弱みを収集し、決定的な証拠を握っていたのだ



~~~~~


それらを、信ぴょう性のあるものや、きちんと裏がとれているもの…などに分けていく


「よく、これだけの情報を……志信さん一人で、集められたものだわ……」

あまりにも多い情報量に、思わず感心してしまう
どれだけ、大変だったんだろう……

そんなふうに思っていると、一枚のレポートに目が止まった

「これって……」

そこには、神山さんが、
どうやって雪子さんに近づいたのか……
どうやって雪子さんを自分のものにしたのか…・…
どうやって雪子さんを追い込んでいったのか……

などの、とても衝撃的なことが書かれてあった

でも、こんなこと……・神山さん自身にしかわからないことなのでは……?
第三者がこの内容を知っているのは、なぜ?

情報提供者の名前は……真由美……

(この、真由美って…誰?)

「志信さん……・この、真由美さんって…・」

「ん? この女は、神山の愛人気取りだったホステスだ」

「愛人きどりのホステス?」

ああ、神山がかなり入れ込んでたみたいで、寝物語に語っていたそうだ」
「まあ、これだけのことを話すんだから、ただの火遊び程度っていう付き合いではなかったんだろうが……」
「神山に別の女ができると、あっさり鞍替えされ捨てられた」
「まあ、かなりの手切れ金をもらったそうだが……」

「手切れ金…・」
「でも、それならどうして? どうしてこんな話を聞き出すことが……」

「……・・聞きたいのか?」

「え?」

「どんな手を使って聞き出したのか……」

「志信さん……?」


志信さんの顔が、苦痛に歪んでいる


「色仕掛けだ、この手の女は……・」
「ちょっと、甘い言葉を囁き誘えば、すぐにのってくる……・」
「この女も例外ではなかった」

「聞き出したあと、すぐに帰ろうとしたんだが……しつこくてな……」
「……なかなか離れてくれなくて……」


(いやだ…こんなこと聞きたくない……)
(志信さんがほかの女の人と抱き合ってる姿なんて…想像したくない……)

(あっ、前にも私…同じような思いを……した)

ふと、志信さんがキスマークをつけて帰ってきた日のことを思いだす
ずっと気になったまま…だったあのキスマーク……
もしかして……!?


「志信さん……あの時のキスマークの相手って……?」

「………ああ」

~~~~~




志信さんが退院するまでは、病室で看病しながら、その作業を続けた






≪③につづく≫






イケない契約結婚ー究極の選択ー

(C)Arithmetic






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とうとう、復讐開始…となったわけですが……

ふふふ…みなさんお気づきですよね?

ずっと、ずーっと…
かなりしつこく気になっていた、志信さんのキスマーク……

無事に二人が結ばれてからも、実は ず~~~と気になっていたんです!
ちらっちらっと、その思いは小出しにしてきたのですが……

今回、ちょうどいい感じの場面があったので、どうゆう経緯で、どうやってつけられたもので、だれが……っていう疑問を、妄想で作ってしまいました!

~~~~~ から、 ~~~~~までが、その妄想となります。


まあ、目的のためにつけられた…ってことなので、とりあえず納得…ということで、
やっと自分では、スッキリです!

あ~良かった、良かった…・自己満足…自己満足・・・・・・・・( ´艸`)