第8話④はこちら…
「イケない契約結婚」有馬志信
~第9話:復讐―有馬の過去―①~
ゆっくりと…まるでスローモーションのように、志信さんの身体が倒れた
その身体を抱き起す
抱き起した手は、見る見るうちに真っ赤に染まり、志信さんからは、次々と血が流れ出てくる
「あはは! いい気味!」
少し離れたところで、女の声が響いた
「……!? ………みゆきさん!?」
「アンタたちは、いつだってあたしの邪魔をする……」
「アンタたち……?」
「志信も、白金総司も……憎くてたまらない、あの女の血を引いたアンタたちがね!」
「え……?」
その言葉に、耳を疑う
(どういうこと…?)
「マリアさん! 早く志信を病院に!」
「は、はい!」
そこに板井さんが駆けつけ、みゆきさんを押さえつける
「マ……マリア……」
「志信さん! しっかりしてっ!」
「心配、するな……かすり傷、だ……」
「ダメ、今はしゃべらないで…!」
「ふ……大丈夫、だ……」
「……志信さん……」
(お願い、志信さんを助けて…!)
彼の赤く染まる手を握って、神様に無事を祈る
けれど、みるみるうちに、志信さんの顔が青ざめていく
(……神様……志信さんを助けて……)
志信さんの意識が薄らいでいく中…
遠くから、救急車のサイレンの音が聞こえた
救急車に乗せられると、志信さんは完全に意識を失った
「志信さん……」
私は、しっかりと志信さんの手を握り締めた
(どうか志信さんが、無事でありますように……)
× × × ×
病院へ着くと、志信さんはすぐに処置室に運ばれた
「ご家族の方はいらっしゃいますか?」
「あ、はい!」
「奥様ですか?」
「はい、あの、主人は……?」
わずかに取り乱す私の肩を、看護士が撫でてくれた
「奥様は、ご主人様と血液型は?」
「い、一緒です!」
「出血が多く、緊急に輸血を必要とします」
「えっ……」
「奥様、ご協力いただけますか?」
(志信さんが助かるなら、少々の血ぐらい、どうってことはない)
「はい、もちろんです!」
私は大きくうなずいた
× × × ×
手術後―――
ベッドに横たわった志信さんは、なかなか目を覚まさなかった
私はただ志信さんのそばで、
早く目覚めてくれるよう、祈ることしかできなかった
「少し、休んだらどうだい?」
「大丈夫です……」
「でも、志信が目覚めたときに、マリアさんが元気でなかったら……志信がガッカリしてしまうんじゃないかな?」
「ご心配、ありがとうございます」
ずっと寝ずの看病をしている私を心配した総司さんが、気遣って、元気づけてくれようとしてくれている
今は、そんな総司さんの気持ちを、とても嬉しく思える
私は、その気持ちに応えようと、できるだけ明るい表情を総司さんに向けた
「じゃ、飲み物でも買ってくるよ、マリアさんは何がいい?」
「じゃあ……ミルクティ―を」
「OK!」
笑顔を残し、総司さんが病室から出て行った
総司さんを見送ると、すぐに志信さんの方に視線を戻した
「早く……目覚めて、志信さん……」
「う……ん……」
私の祈りが通じたのか、志信さんがわずかに身じろぎをした
「マリア……か…」
「志信さん…っ」
「大丈夫ですか? 志信さん……」
心配そうに見つめる私の頭を、志信さんは乱暴に撫でた
≪②へつづく≫
イケない契約結婚ー究極の選択ー
(C)Arithmetic
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もうね~いったいなんなの?
この、バカみゆき!!
ぜんぜん懲りてないヤツって……いるんだよね~~
だいたいさ~アンタがこんなふうだから……
息子もボンクラで、外に愛人囲われるわけでしょ?
アンタの旦那が一番悪いの?
分かる?
それなのにさ~~志信さんを刺すって、何考えてんのよ(怒)
本気で怒ってんだからね
ぜ~~ったい、許さないんだから…・(怒怒)
でも、志信さんが目を覚ましてくれて…ホントよかった~~(ホッ!)
今回はね~素で、怒り爆発のマリアでしたm(_ _ )m