「イケない契約結婚」有馬志信

~第8話 エクストラ:教えてほしい?~




「志信さん、いったいどこへ行くんですか?」


「ん~~」


志信さんは、約束があるとは言ったけれど、行先も、その約束の内容も……
全然教えてくれなかった

ただ私の膝を枕にして、シートで横になっているだけ……


「おい、手を止めるなよ……」

「ご、ごめんなさい……」

志信さんが頭を撫でてくれと言ったから、さっきからこうして、私の膝の上にある頭をずっと撫でていた

(こういう子供っぽいこと…嫌いなのかと思ったけど……)
(それだけ、気を許してもらえてる、ってことなのかな……)

そう考えると、こんなことでもとても嬉しくて……
つい顔がほころんでしまう


「ん…?」

なんだか脚が、サワサワとくすぐったくて…思わず覗き込むと、志信さんの手がしつこく撫でまわしていた


「志信さんっ!……何やってるんですか?」

「ん~~………マリアの脚、撫でてた……」

「撫でなくていいですから、行き先ぐらい教えてください!」


志信さんの手を払おうと、自分の手を伸ばす


「何言ってんだよ、撫でなくてどうする…こんな目の前にあるのに……」


伸ばした私の手は、志信さんの手によってあっさりと退けられてしまった


「志信さん!もう、ふざけないでください!」
「私にとって今重要なのは、今からどこに行くのかであって……」

「なかなかそそるよな~、秘書をこう色々と……自由に弄ぶのは……」

「なっ……あっ………」


志信さんは私の胸に手を伸ばし、鷲掴みにした


「ちょ、ちょっと……志信、さ…ん…止め……て……っ!」

「ん、どうした?」
「勢いがなくなったんじゃないか?」

「だ、だって……そんなふうに触られたら……」

「触れられたら……?」

「もう……板井さんだって、いるんですから……」


私は運転席を気にしながら小声でそう言うと、


「板井? あ~気にするな、コイツは空気と思えばいい」

「そんなことっ、あっ……」


バックミラー越しに板井さんと目が合った


「あ、オレ本当に大丈夫ですから!気にしないでください!」
「それに、慣れてますから!」

(えっ!? 慣れてる…って……)


その言葉に、車内の空気が一瞬にしてピーンと張り詰めた


「ふ~ん、板井さん………慣れてるんですか…?」

「おい、何のことだ!? い、板井…お前何バカ言って……」

「またまた社長……何ご謙遜を……」

「そ、それは謙遜とは言わないだろ、バカ野郎!」


顔を真っ赤にして本気で焦っている志信さんが、何だか可愛くて……

(さっきまで、意地悪を言っていた志信さんとは別人みたい……)

「いいですよ、もう、過去のことでしょうから」
「志信さん!気にしませんから…私は……ぜ~んぜん大丈夫ですから……ね、志信さん!」


「……いっ……」


私は、板井さんに見えないように、志信さんの頬を軽くつねった


「いやぁ、マリア様は本当に器の大きな方ですね~社長?」


「板井……お前、今度覚えてろよ……」

「はい、社長!」


そう言った志信さんの目は、全然笑っていなかった………


私は、意外な志信さんの姿を見ることができて、少し嬉しかった……
けれど……


(板井さん……大丈夫かしら?)


そのことだけが、気がかりとなってしまった






≪第8話:エクストラ ~fin~≫




イケない契約結婚ー究極の選択ー

(C)Arithmetic




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キャーッ!!
このシナは……なんなんでしょう…!?

サービスシナでしょうか??

こんな甘えんぼの志信さんに……
チョー天然な板井さん……

最後まで、板井さんが気づいてないのが…超うける~~(*^o^*)

志信さんも……今までのキャラからは想像もつかないような甘えっぷりで……
なんか、もう~~~志信さ~~ん(///∇//)
母性本能がくすぐられちゃいます~~!!

でもでもやっぱり……
志信さんの女性関係には………泣きそ~…( p_q)


板井さんも……ちょっと気になります!!