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有馬志信とハロウィンパーティー






06:その答えは…




「これが答えだよ」


「え?」



やってきたのは、志信さんが経営しているお店のひとつで、

お店のドアを開けると、どうやらパーティーの準備中のようだった



「今日は何の日だ?」


「10月31日……ハロウィン?」


「やっと気づいたか……そういうことだ」

「今日はハロウィンだから、ハロウィンパーティーでもしようかと思ってな」

「…ちなみにオールナイト」


「オールナイト……」



志信さんは店内を見回し、最後に私の顔を見た



「それでライブもやるから、その打合せとイベントの準備とかで忙しかったんだ」

「ちなみに、神山が見せた写真に写ってたのは、お前の衣装をコーディネートしてくれた人だ」


「私の?衣装…?」


「それは俺の提案だよ」


「十真くん!?」



後ろから声をかけられ振り向くと、十真くんがパーティーの準備を手伝っていた




「せっかくのイベントだから、マリアさんも混ぜた方が絶対に面白いって思ってさ」

「衣装を作って貰ったり、色々準備してたんだよ」


「おい、十真」


「今まで志信さんが、そこまですることなんてなかったから…人って変わるもんだよね?」


「…ったく、驚かせようとしてたってのに、神山のヤツメチャクチャにしやがって…」

「って……マリア、お前……」






07:驚きの涙




志信さんが驚いた顔で、私を見つめている

私の視界は、見事に涙で歪んでいた


「マリア……」


「ちょ、ちょっとビックリしただけです!」


(志信さんは私のことをちゃんと考えてくれてた…)


「心配させて悪かったな」



志信さんの力強い手が私に触れ、抱きしめられる




「神山も、俺がお前に秘密にしているのをいいことに、利用したんだろうな」

「相変わらず姑息な手を使いやがって……」


「でもあの時、志信さんが迎えに来てくれて本当に嬉しかったです」


「ほいほい素直に着いて行く、お前も悪いんだからな!」


「ああ、あの時の志信さん、すごく焦って店を飛び出して行きましたもんね~」


「十真、お前は黙ってろ!」


「でも本当に、志信さんを変えたマリアさんって凄いや…」


「え?」






08:大変身




十真くんの話を詳しく聞く前に、衣装室へと無理矢理押し込まれた

ゴシックな魔女をコンセプトにした赤と黒のドレスに、赤薔薇のついた黒のミニハットを頭につけられる


どうぞと言われ鏡の前に立たされて、初めて鏡を見る


そこにいたのは、いつもと違う姿の自分だった



「これが私……」


「終わったか?」



志信さんと目を合わせるのが少し恥ずかしかったけれど…

カーテンを開けて個室を出た



「………会場に行くぞ」


「わかりました」


(すぐに視線を逸らされちゃったけど、似合ってないのかな…?)


「マリア……俺の傍から離れんなよ?」




気のせいか、志信さんの横顔が赤い気がした


志信さんが私の手をひいて腰に手を回し、そして、パーティー会場に入った






09:パーティーはこれから




ハロウィンの衣装が目立つ店内は、仮装した人で賑わっていた


その中で志信さんは主催者として、訪れた人たちをもてなして回っていた

私もその後に続いて挨拶をする


途中で何人かの人に声をかけられたけれど、そのたびに志信さんが助けてくれた



「まったく、少しでも目を離すと、お前は誰かに囲まれているな」


「すみません……」


「まぁ、俺としては鼻が高いが、気分は良くない」

「そういう無自覚な所があるから、俺は時々不安になるんだぞ」


「志信さんが不安に?」


「……そうだ、わりぃか?」


「……いえ、嬉しいです」


「夜は長いんだ、途中でばてるなよ」

「今日は最後までずっと傍にいろ」


「はい」






10:誰がバツゲーム?




パーティーは夜が深まるにつれて、どんどんヒートアップしていった

ライブも好評のうちに終わり、私と志信さんはカウンターでひと息ついていた



「もうすぐイベントがあるからな」


「え、イベントがあるんですか?」


「ああ、だからちゃんと準備しておけよ」


「準備?」



志信さんがグラスを片手にニヤリと笑う


そして、タイミングよくイベントが開始された

仮装している人が、仮装をしていない人から、誰が一番多く、

お菓子を貰えるかという、ちょっとした余興だった



「イベントって、これだったんですね!」


「ああ、呑気なこといってる場合じゃねぇぞ」

「お前…仮装してるだろ?」

「一番多かったヤツには景品、一番少なかったヤツは罰ゲームだからな」

「……がんばれよ?」


「ええ~~!?」







≪ノーマルエンドに続く≫