「眠らぬ街のシンデレラ」(妄想小説)



冷たい雨のふる夜に…⑤END:1  廣瀬遼一






~遼一side~




アイツの声が途切れ……


≪ツーッ――ツーッ――≫


無機質な音だけが、輪唱のように聞こえてくる……



「はぁ~~」

(……んだよ、まったく……)

(なんで、こんなに後味が悪いんだよ……)

(マリアの声を聞きたかっただけでしょうが…)


(……声が聞きたかった…最初はただ……それだけだった……)

(それだけだった、はずなのに……)



オレは大きく息をはくと、窓辺に向かった




降り続く雨を眺めながら、ふと窓ガラスに映る自分の顔に目をやる



(……もう、限界か?)


オレは自分にそう問いかけてみる


(オレは自分が思っている以上に……)



「アイツに惚れてる……か」



『マリア』


無意識のうちに、指で曇った窓ガラスに名前を書いていた



(…ったく、オレは何やってんだ? 19、20(ハタチ)のガキじゃあるまいし……)



呆れたように一人苦笑した

そして……


「ああ~~、一緒に暮らすか~~」

(マリアが傍にいないなんて………)


(もう、我慢できねえ…考えられねえ…)



オレの口から零れた言葉……


それが、自然に溢れ出た、オレのアイツへの想いだった



自然に笑みが零れ、オレの中からはさっきまでの後味の悪さは

いつのまにか消えていた




今の仕事が落ち着いたら、アイツに伝えよう…


(……どんな顔するだろうな…)


オレはそんなアイツの顔を思い浮かべながら、書斎に戻ろうと窓に背を向けた




ふと、立ち止まり振り返ると、もう一度、窓の外に降り続く雨を眺めた



「『雨降って…地固まる…』か……」

(よく、言ったもんだな……)


「ふっ…」


自然に顔がほころんでいく




オレは冷たい雨が降りしきる夜に………


心が温まり、穏やかな気持ちで書斎に戻った





窓の外には…


冷たい雨が降り続いていた…


そんな冷たい雨の降る夜は、想いあう二人の距離を確実に縮めていった……







~fin~









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「冷たい雨のふる夜に…」

長らくお付合いいただきまして、ありがとうございました~~


無事終了いたしました!


今回も、本当はこんな長いお話にするつもりはなく…

軽~い感じで書き始めたのですが…(3話終了ぐらいのつもりでした)


やっぱり、ダメでしたね~~

(まあ、いつものことですが…)


今回は、声が聞きたい、声を聞いたら会いたくなる、という

誰もが経験したことのある切ない恋愛を書いただったのですが、

たくさんの方に共感いただきまして、ありがとうございます!


私も、けっこう感情移入してしまったところもあり、書いてて切なくなったり…

思いいれの深いお話になりました。



…で、気づいた方もいるとは思いますが、

タイトル…END:1となっておりますが……


ということは、END:2もあるのかな~と…思いませんでした?


実は、今回のこのお話のENDなのですが、最後まで決められずに…

二つのパターンがあり、どちらにするか決められずに…

迷いに迷ったんですよ…


なら、両パターン書いちゃおう!ってことになり…

書いちゃいます!


ということで、END:2 もUPしますので読んでみてくださいね!



では、とりあえず(^-^)ノ~~