「眠らぬ街のシンデレラ」(妄想小説)




冷たい雨のふる夜に…② 廣瀬遼一








~マリアside~




≪ツーッ… ツーッ… ツーッ… … … …≫



(あっ…話し中……)


少しガッカリして肩を落とすと、小さく息をはいた……



(こんな遅くに……誰と話してるんだろ?)

(あ、皐月さん…とか、未来くんかも…)

(…それとも………)



よからぬことが、頭の中をかけめぐる



「あ~ダメ、こんなこと考えてちゃ…」


(仕事の電話だってあるんだから…)


「明日の締切りのこととか……」

「そ、そーだ!私も、さっさと終わさなきゃ、…集中、集中!」



思いっきり頭を横に振り、自分に言い聞かせるように言葉を発すると、

手に持った携帯をソファに向かって放り投げた







~遼一side~




≪ツーッ… ツーッ… ツーッ… … … …≫



「ん?話中かよ…」

「こんな時間に、誰と話してんだよ…ったく…」



オレは苛立ちを隠せないままに、煙草に火をつけた


そして、その苛立ちを落ち着かせようと、


「ふ~っ」


大きく紫煙を吐き出した



「………」

「…くそっ」



煙草の火をもみ消し、もう一度深く息を吐く

そして、電話を手にするとリダイヤルボタンを押す




≪~♪~~♪~~♪~~~♪≫




聞こえてきた呼び出し音に、ホッと胸を撫で下ろす自分が滑稽で…

思わず苦笑いをしてしまった



(~♪~~3コール、~♪~~5コール、~♪~~10コール……)



なかなか繋がらない……

呼び出し音だけが、響いている



(…もう、寝たのか?)

(あと2コールで…)



通話終了ボタンを押そうとしたその時、


電話の向こうから、聞きなれたアイツの声が聞こえてきた







~マリアside~





≪~♪~~♪~~♪~~~♪≫




(あっ、電話だ!誰だろ?こんな時間に……)

(えっと、け、携帯は…どこだっけ……)

(早くしないと、きれちゃう……)

(携帯…携帯……あ、さっきソファーに……)



急いでソファに駆け寄り、携帯を手に取った


ディスプレイを確認すると、そこには……



(遼一さん!?)



びっくりすると同時に思わず顔がほころぶと、急いで通話ボタンを押した











≪③につづく≫