Bed Time Story… (番外編)


~Girl's Talk②~矢野風子








ジ~っと私の顔を覗き込んだ風子の瞳は、爛々と輝いていた




「ちょ、ちょっと風子、酔ってるんじゃない?」


「酔ってない……ほら、話はぐらかさないで、今日は聞かせてもらうからね~」

「友達の彼氏が有名人なんて……そうそういないんだから、覚悟しなさいね~」


「そ、そんな~~」

(うっ、もしかして…?)


「……風子、最初からそのつもりで・・・?」



「ふふ、そうに決まってるじゃない!」




風子は、悪びれた様子もなくケラケラと笑っている




「え、…じゃあ、さっきの話も嘘なの…? 外資系の…?」


「あ~、あれはホント、でも、いくらあたしだって…会って3時間の男と関係持ったりしないわよ」


「それじゃ…?」


「ホテルに誘われたところで、『はい、さよなら』…でしょ?」


「ハハ……そ、そーだよね……」

(あ~なんかホッとした…いくら風子でもね…そんな事するわけないよね…)




私たちは顔を見合わせると、可笑しくなって一緒に笑った







「で、どうなのよ?」


「えっ? どう…って……?」

(……わ、忘れてなかったのね~)


「もう、往生際が悪いんだから~」

「あんたがさ~、あの『廣瀬遼一』と付き合うってなった時から、ずっと心配してたんだからね?」


「…し、心配?」


「そりゃそうでしょ? だって、あの『廣瀬遼一』だよ?」

「あんたみたいに、奥手な女(こ)がさ~、あの『廣瀬遼一』を相手に満足させられるのかな~って」


「………っ」

(あの『廣瀬遼一』…って……)


「マリアも知ってるでしょ?」

「付き合うことになる前は、かなりマスコミやメディアをにとりあげられていたじゃない?

『プレイボーイ、イケメンベストセラー作家の熱愛発覚!?』とか、なんとか…」


「……う、うん」

(確かに、私が担当になったばかりの頃は……そんなニュースが絶えなかったかも…)



「その廣瀬遼一を、マリア、あんたが独り占めしてるんだから…」

「それは…気になるじゃない? マリアのベッドテクニック…とか…ねっ?」


「ゴ、ゴホッ、ゴホッ……」

(ベ、ベッド…!? テ、テクニック…って!?)


「マリア~~、白状しなさ~い~~~」





風子の茶化したような瞳が、まっすぐに見つめ、顔が近づいてくる……





「ちょ、ちょっと……わ、わかったから……は、話すから…」

(うっ、顔近すぎ……)


「で、でもね、ホントそんな特別なことはしてないし……いたって普通だし…」

(テクニック……なんて、言われても……)




私は困惑しながらも……諦めににた、小さな覚悟を決めた









≪③につづく≫