続編☆白金総司


第11話:おかえり⑤








「お二人とも、総司さんをあまり困らせないで下さい」


「お姫様から庇われるなんて、王子様らしくないね?」


「たまには王子っぽくしてみろって」


「白金の王子様は、照れ屋さんなのかな?」


「もう、だから……」


「俺の方が…」


総司さんは少しだけ勢いをつけて、テーブルへグラスを叩きつけた



「俺の方が、マリアを大切に思っているに決まってるだろう」


総司さんはブスッとした顔で、二人に向かって言い放った



「………」


「お、今度はこっちが硬直してるな」


「あはは、戻ってこーい!」


「自分が言う分にはなんともないくせに…お前は……」


「だ、だって……」


二人きりの時にそう言われることは、今までだってあったけれど、

人前でこういうことを言われるのは……恥ずかしい



「恥ずかしいです……で、でも、嬉しいです」


「……嬉しい?」


「はい、だってt総司さんが誰かの前で言ってくれるなんて、初めてですから」


「……マリア」


私の言葉に、総司さんは顔を綻ばせた



「あーあ、俺も結婚するかなー」


「僕もしよっかなー」


「……うるさいぞ、お前ら……できるもんならしてみせろよ、ふん」


「………」


「………」






「もうこんな時間か、帰るぞ」


「あ、私、タクシー拾ってきますね」


「ああ、いいってそんなの、呼んでやるから」



4人でお酒を飲んでいると、時間もあっという間に過ぎていった

そろそろ時計の針が、深夜2時を回ろうとしていた



「僕も帰ろうかなぁ……」


「明日仕事なのか?」


「いや?」


「じゃ、お前はもう少し金を落としていけよ」


「言い方がえげつないんだから……有馬は」




×  ×




「じゃ、気をつけて」


「またね」


「今日はありがとうございました」


「……いろいろとな」


総司さんとタクシーに乗り込んで、二人に別れを告げた





×  ×  ×  ×





「はあ……」


玄関の扉を開けて家に入る

靴を脱ぐ前に玄関に座り込んでしまった私の隣に、総司さんも腰を下ろした



「……疲れたな、今日は」


「私は昨日からの心労も含めて、ですけど」


「ふっ、言うようになったな…」


「それほど、総司さんのことが大事ってことなんです」


総司さんと二人、廊下に仰向けになる



「……やっぱり、家が一番だな」


「そうですね……」

「ん? どうかしました?」


「いや……」

「……まさか、俺が攫われるなんてな」


黙って天井を見つめていたのかと思ったら、急に総司さんが笑った




「……本当ですよ」


「悪かったな」

「まさか、自分がそんな目に遭うとは思わなくてな……」


総司さんはゆっくりと体を起こすと、私のパンプスを脱がせる




「いつまでも、こんなところでダラダラしてないで、行くぞ」


「……そうですね」


「……しょうがないやつだな」


返事をしながらも、なかなか起き上がろうとしない私を笑いながら抱き上げた









≪つづく≫









「イケ契約結婚」


白金総司(続編)



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