続編☆白金総司


第11話:おかえり③プラス妄想







刑事から後で詳しく話を聞きたいと言われていたので、私たちはタクシーで病院からまっすぐ警察署にやってきた



「どうかされましたか?」


入り口の近くで係員に話しかけるのを迷っていると、こげ茶色の髪の男性が、気遣うように話かけてきてくれた



「特殊班捜査係の方とお約束があるのですが……」


「もしかして、白金さんですか?」


「はい」


「ご案内します、こちらへどうぞ」


人好きしそうな穏やかな笑みを浮かべ、男性が歩き出す

総司さんと私は、その後について行った


少し歩いて、あるドアの前で立ち止まると、案内の男性はノックもせずに中を覗き込んだ



「何か用か?」


「白金さんが、いらっしゃいました」


「ん?」


中から刑事さんが出てきて、私たちを見るなり姿勢を正した



「……白金さん、お疲れのところわざわざご足労いただき、ありがとうございます」


「お待たせしてすみません」


総司さんの後に続いて、私も頭を下げた




「それで、今回の件ですが、ご内密にお願いしたいのですが……」


「そう来ると思ってましたよ」


通された部屋のソファに座り、常務たちの処遇について説明を受ける



「……彼には、恩義があります」


「恩義なんて、そんなもん……」

「今回の件で、リセットできちまうようなもんじゃないんですか?」


「そうかもしれませんね」

「でも、報いる必要はありますから……彼らがどう裁かれるのかは、私は専門家ではないのでわかりません、それは、あなたたちプロにお任せします」


「ですが、この件は絶対に公にはしないように……」

「私がお願いしたいのは、それだけです」


「……分かりました、……あ、そうだ」

「ちょっと待っててください」


刑事は立ち上がると部屋を出て行き、さほど時間がたたないうちに、何かを持って戻ってきた



「それは……」


黒いシンプルなボストンバッグ



「無事、回収できたんですよ」

「次の駅に先回りして、そこで実行犯のうちの一人が持ち去ろうとしていたところを、確保しました」


「……それは?」


「……離婚届と、2億円の入った……バッグです」


「…………」


離婚届、と聞いた途端に、総司さんの表情が険しくなった

私は少しだけ気まずくて、彼から顔を逸らす



「こちらですが……」

「本来であれば、一定期間お預かりさせていただくところなのですが、なんせ金額が金額なもので…

特例ですぐにお返しすることになりまして……」


「車を手配して、持ち帰ります」


「お願いします」



総司さんはボストンバッグを受け取ると、予想外の重さだったのか、一瞬だけ眉間にシワが寄った




×  ×  ×  ×





総司さんは香坂さんに電話をして、警察署まで迎えに来てもらった


迎えに来た香坂さんは、総司さんの顔を見ると心からホッとしたような表情をしていた


(そうだよね、香坂さんだってずっと心配してたと思うし…)


「心配かけたな…香坂」


「いえ、会長なら絶対大丈夫だと信じておりましたから……」


「すまない…」


「本当に、ご無事でなりよりです」


「……香坂さん、ありがとうございます」

「総司さんのこと、これからもよろしくおねがいします」


「マリアさんもご心労大変でしたでしょうけど、会長を支えていただき……私からもお礼をさせて下さい」

「……ありがとうございました」


「そ、そんな、香坂さん! 頭を上げてください!」

「私は、何も……」



私たちは3人で顔を見合わせると、誰からともなく微笑み車に乗り込んだ






×  ×  ×  ×





「それにしても、よく用意できたもんだな……」


「おじい様の…力です」


「……あの人なら、確かになんとかできないことはない、か…」


総司さんは軽くため息をつくと、ボストンバッグの中に手を入れた




「……ん?」


「どうしたんですか?」


「ない」


「え?」


「離婚届……本当にこの中に入れたのか?」


「入れましたけど……」


「入ってない」


「えっ!?」


総司さんに言われてバッグの中を覗き込んでみると、中には本当にお金しか入っていなかった



「どうして……?」


「入れ忘れたんじゃないのか?」


「そんなはずは……」

「時間稼ぎに入れなかったと思われたら大変だと思って、何度も何度も、忘れてないか確認したんですから」


「……なるほど?」

「そんなに、お前は俺と離婚したかったわけか…」


「……そ、そういうわけじゃ……!」


「別に取り繕ってくれなくてもいい」


「総司さんを助けるためと思って!!」


否定を表すように手を体の前で左右に振ると、いつのまにか近くに来ていた総司さんに、ぶつかった



「……い、痛い…」


「……俺の方が、痛いだろ」


「と、とにかく! 私は総司さんを助けるためにっ…んっ…」



今度もまた、私は最後まで言うことができなかった

総司さんの唇が、私の唇を塞いでいたから……






※太字下線部分は、本家シナリオにはない文章、セリフとなります。

 私好みに、よりわかりやすくということから、追加させていただいてますのでご了承下さい!





≪つづく≫









「イケない契約結婚」


白金総司(続編)



(C)Arithmetic








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「イケ契」ファンの皆様、いつもご閲覧いただきありがとうございます!



最初にお詫びしておきます、ごめんなさいm(_ _ )m


つい、いつもの癖で……

またまた、勝手にレポに妄想を追加してしまいました…


完レポを心がけてはいるのですが、つい、言い回しとか、このセリフ?よりこっちの方が…とか、

今までもちょこちょこと、書き換えてはいたのですが…

(気づいてました?)


それで、今回は―――


香坂さん、って、覚えてますか?


総司さんがまだ、白金グループの会長になる前の PLATINUM社長の頃の秘書だった人ですよね~

(その後、真澄の秘書になっちゃたけど……その後はどうなったんだろ??)

続編になってからは、すっかり出番がなくなってしまってて……


いつか出してあげたいってずっと、気にしてたんですよ……


そしたら、そしたら……


今回、総司さんに、「車の手配をして……」っていうセリフがあったから、もしやと思ったんですが、

そのシーンはスルーされていたので、


勝手に書いちゃいました~~~(  ゚ ▽ ゚ ;)


まあ、全然なくてもストーリーにはなんの影響もないお話なんだけど、香坂さんのファンの方もいるかもしれないし……

自然な感じで仕上がったのではないかと……

(自己満足)



まあ、こんな感じでこれからも続いていくかと…思いますので、ご了承下さいね!