続編☆白金総司
第11話:おかえり②
「お姫様の涙は、見過ごせないからね」
「……そうか」
いつもなら、こんな仕草をしようものなら、花代さんの手を力一杯振り払う総司さんだが、
今日はそうしなかった
いつもの調子の花代さんを咎めることなく、それを見て眉尻を下げ、少しだけ困ったように笑ってくれた
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①二人にお礼を言う(5UP)
「お二人とも、本当にありがとうございました」
「気にするな、俺と総司は、親友ってだけじゃないからな」
「僕は家族でも親友でも友達でもなんでもないけどね…」
「……今回は、見逃してやるぞ花代」
「おお それはそれは、身に余る光栄です」
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②有馬にお礼を言う
「有馬さん、ありがとうございました」
「なんだよ、かしこまって」
「俺からも、礼を言わないとな」
「……こいつがずいぶんと世話になったようだからな」
「一丁前に旦那の顔しやがって、お前は」
有馬さんが微笑みを浮かべると、総司さんの額を人差し指でつついた
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③花代にお礼を言う
「花代さん、ありがとうございました」
「……どうしたんだ、マリア?」
「それ、白金の言うことじゃないと思うんだけどね~」
「……そうですよ」
「花代さんが、私をここまで連れて来てくれたんですよ」
「花代が?」
「王子様のくせに、攫われたお姫様みたいな君のところに、ね」
「……嫌味しか言えないのか、お前は…」
「なら君は、素直にありがとうって言えないわけ?」
「まあまあ……」
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軽口を叩けるくらいの体力が、総司さんにあると分かって、私はとてもホッとした
× × × ×
「……よかったですね、なんともなかったし、ついでに健康診断までしてもらえて…」
あれから、仕事に戻ると言った総司さんだったが、軽く事情を聞かれ、その後病院へ連れてこられた
「……こういうハプニングでも起きなければ、なかなか病院にもこれないからな」
総司さんは困ったように笑いながら、ソファに腰を下ろした
「検査結果は合間を見て、私が取りに来ます」
「…ああ、頼む」
嬉しそうな顔で私の頭に手を置くと、労わってるように ゆっくりと撫でてくれた
「あの……子供じゃないんですから、ちょっとこれは……」
「そうだな、知ってる」
「子供は愛すべきものだろう? だが、妻だって愛すべきものだ」
「……こうやって撫でてはいけない決まりなんてないだろう?」
「………」
「真っ赤だな」
「……総司さんの、せいです」
≪第11話:エクストラ 優しい体温につづく≫
「イケない契約結婚」
白金総司(続編)
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