続編☆白金総司


第10話:恨みの枷⑥







『マリア!』


(!? 総司さんの声……!)


『俺のことは大丈夫、だから―――』


『…るっせいな、だまってろ!』


『く……っ』


「総司さん!?」


電話の向こうに、総司さんの声を確認できたと喜んだ矢先に、彼の呻き声が聞こえてきた



『アンタが怪しい動きをみせなけりゃ、この男は助けてやる』

『……アンタらを恨んでるわけじゃないんだ……からな』

『……それじゃ、さっき言った通りに』


「あっ………」


電話が切れて、私は呆然とそこで立ち尽くした



(怪しい動きをみせたら、ってことは……きっと、今もどこかで私を見張っているに違いない)


視界の隅にいる捜査員も、そう思ってかキョロキョロと辺りを見回していた



(とりあえず、有馬さんに連絡しなくちゃ…)


通話内容を捜査員たちは聞いていたけれど、有馬さんはあの後どこかに行ってしまったので、

今のやり取りを知る由もない




(14時38分発、4号車……)


指定された電車が、ホームに滑り込んできた


(進行方向、向かって右の座席…)


そこには、気の良さそうなおじいさんが座っていた


(置いてすぐ出たら怪しまれるから……電車が出発するギリギリに降りるしかないよ)

(総司さん……どうか、怪我一つなく戻ってきて欲しい……)


バッグを座席下の端に寄せて置き、それを隠すようにその前に立つ



プルルルルルル―――




(……っ、扉がもうすぐ閉まる)


発車を知らせるベルの音とともに、電車を降りた


プシュー、と音を立ててドアが閉まる


「はぁ……」


私は大きく息を吐きながら、小さくなっていく電車を見ていることしかできなかった


(これで……本当に総司さんが戻ってくるんだろうか……)

(言われるままに信じて疑わずにいたけれど……それで、本当に総司さんを解放してもらえるんだろうか)


そう思ったら急に心細くなって、思わず唇を噛んで俯いた



「――― マリアさん!」


大きな声で呼ばれて振り向くと、花代さんがこちらに向かってきていた


「は、花代さん!? ど、どうしてここに……?」


「…はぁっ、はぁっ……ま、間に合わなかったか……」


彼は前屈みになり膝に手を置いて、呼吸を整えている



「とりあえず、僕と来て」


「どこへ行くんですか……?」


「決まってるだろ、白金のところさ」




花代さんに連れられて、駅前に停めてあった彼の車に乗った


「総司さんの居場所が…分かるんですか?」


「ああ、分かったのは本当に、たまたまだけどね」

「有馬が僕に連絡をよこしてね……」

「僕の父も会社経営してるから……」

「常務だっけ、その人? その会社名を父に聞いてみたら以前取引きがあったらしくて、あっという間に住所付きの封筒が見つかったんだよ」


「それで……」


「今その場所がどうなってるかは、有馬が調べた」

「その会社が倒産してからは、廃ビルになってて何も入ってないそうだ」


「警察に連絡しますっ……」


「それはもう大丈夫、もう連絡がいってるから、たぶん僕たちとほぼ同時に到着すると思うよ」

「……急ごうか」


左腕の腕時計で時間を確認すると、花代さんはアクセルを強く踏み込んだ




×  ×  ×  ×




その廃ビルにはすでに、警察が武装した特殊班を出動させ待機していた

近くのビルの屋上には、万が一のことを考えて狙撃手もいるらしい



「……本当、無事だといいけど」


「縁起でもないこと言うな、バカ」


「………」


警察が陣取っているすぐ後ろで、私たちは待機をしていた



「大丈夫」


ポン、と優しい感触が頭に落ちてきて視線を上げると、花代さんの大きな手だった


「さっき、ビルの窓から白金の姿が確認できたらしい、大丈夫、彼は無傷で戻ってくるよ」




「準備はいいか」


「はい」


警察の準備が整ったようだ



ゴクリ、と息を呑んで見守る



「突入!」


この声を合図に、裏口の小さな扉から武装をした特殊班が一気に中へと入って行った










≪第11話:おかえりにつづく≫








「イケない契約結婚」


白金総司(続編)



(C)Arithmetic







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~ちょこっと感想~




やった~\(^_^)/


ついに、第10話終わりました~


あ~辛かった、しんどかった、長かった……

やっと、山を越えました~~(たぶん…)


もう、ここまできたら、総司さんを救出して…おかえりなさい…って、感じですよね!

そして…( ´艸`)

イチャイチャ、イチャイチャ…

あ~楽しみ~~~総司さ~ん!!!



…にしても、武装した特殊班とか、狙撃手とか…

サスペンス!?

アクション!?

(これって、乙ゲでしょ…?)

まあ、賛否両論かもしれませんが…

私は個人的に、乙ゲにここまで本格的な感じは?って思っちゃいます。


ハラハラ、ドキドキ…感は必須だけど、ライバル出現とか、横恋慕とか、もっと軽~い感じで充分満足できるかな~なんて…(単なるわがままですけど…)