続編☆白金総司


第10話:恨みの枷⑤






「身代金、か……」

「この場合、警察にお願いするのと、こっちが用意するのでは、どっちが妥当なんですか?


「……警察側で用意するにしても、14時までに用意できるか分からない」


「……本当に、いつまでたっても分からないことだらけなんだな、警察って言うのは……」


有馬さんは痺れを切らしたように、きつい口調で問い詰めた



次の瞬間―――



バタンッ!

もの凄い音をたてて、ドアが開いた



「分かりました!」


「何が分かったんだ!?」


部屋の中に飛び込んできたのは、一人の刑事だった

何かを片手に握りしめている



「犯人たちが、以前所属していた会社名が判明しました!」


その言葉を聞いて、みんなが顔を顰(しか)めた



「お前なあ……」


「……いや、でも進展かもしれない」


「進展、ですか?」


「その会社の所在地は?」


「それは、今調査中です」


「白金関連の所有物には、誰もいなかったんだろう? それに、各社員の自宅にも」


「もしかして、その会社があった所に……?」


「そう、その可能性があるかもしれない、と思ってな…」



「……急いで調べ上げます!」



刑事はバタバタと、ものすごい勢いで部屋を出て行った



「とりあえず……もしものために、マリアちゃん」


有馬さんの声に振り返ると、彼が手に持っている紙を掲げあげるのが見えた



「……そうですね……」




――― 離婚届


総司さんの執務机の上に置いてあったボールペンを手に取り、有馬さんからその紙を受け取った





×  ×  ×  ×





「いいですか、我々もできるだけ早く、場所の特定に務めます」

「以前会社がかった場所を調べるのは、そう難しいことではありませんから」


「だから、時間を引き延ばすことを意識してください」



東京駅の改札口―――


人の行き交うその真ん中で、私は携帯を握りしめて立ち尽くしていた



「っ……もしもし」


『用意はできたか?』


携帯に飛びつくように出ると、今まで聞いた事のない声が聞こえた




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①できた



「……できました」


『それでいい』

『ふん、随分とものわかりがいいじゃないか』

『そんなに白金が恋しいか?』


「当たり前です」

「総司さんは、私の大事な夫ですから」




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②総司さんは?(5UP)



「そんなことより、総司さんは?」


『あぁ? 質問に答えろ!』


「……用意は、できています」


『そうそう、その調子で言うことを聞いてくれたら、こっちだって危害は加えないさ』




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③あなたは誰?



「あなたは誰なんですか?」


『そんなことどうだっていいだろう』


「常務の以前からの会社の部下で、白金の会社に所属している人ですよね」


『お前の質問に答える義理はない』

『もう一度だけ聞く、用意はできたのか?』


「……はい」




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この調子だと、総司さんの身は安全だと思っても良さそうだ


電話の合間に彼を脅したり、暴行を加えたりする気配はない




「あの、指定場所の前に……」


『なんだ』


「トイレ、とか……」


『時間を延ばそうたって、無駄だぜ? いいか、一度しか言わないからよく聞け』

『14時38分発の4号車、進行方向向かって右の座席の下にバッグを置け』


「て、手渡しじゃないんですか……?」


『そんなことするわけないだろう、いいから言われたとおりにしろ!』



捜査員が何人かこの付近に待機しているけれど、やってきた男を捕まえるなんてことはできなさそうだ


(どうしよう……)


『ああ、怪しい動きを少しでも見せたら……どうなるか、わかるよな』








≪つづく≫









「イケない契約結婚」


白金総司(続編)



(C)Arithmetic









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~ちょこっと感想~




もう少し、次回でこの第10話が終わります…

いや~なんか長かったな~この10話【恨みの枷】


なんか、本当にこの展開は…

最期まで馴染めなかったな~


サスペンスチックで好きと言う方も、きっといるんでしょうけど…


私は…あまり好きじゃなかったな…

(この誘拐が、逆だったら良かったのかも……だけど)


にしても、次回で第10話終了!


すごくうれしい!!