続編☆白金総司


第10話:恨みの枷③







「……戻りました」


総司さんの実家から、会社に戻ってきた



会長室の中は騒然としていて、その居心地の悪さに思わず身を竦めた



「……マリアちゃん」


「有馬さん、なにか進展はありましたか?」


「捜査班が、今回の実行犯の共通点を見つけてくれた」


「常務たちの、ですか?」


「ああ」


有馬さんは頷くと、壁に預けていた背中を浮かせて、私を手招きした



「……△△△」


「え?」


「聞いたことはないだろうが、とある会社の名前だ」



たくさんの機械に囲まれて、モニターや書類と睨み合っている刑事を横目に、有馬さんは再び背中を壁に預け、喉を反らすように、後頭部を壁につけ上を向いた



「……常務は、その会社の社長…だった、そしてその秘書や他の部下も全員、その会社に所属していた経歴がある」



常務を含めた実行犯全員が、全員が同じ会社にいた



「その会社は、とある事情で解散、そして、どうやらそれには白金が関連していたようだ……」

「まあ、その流れでそいつらはここに流れ込んだようだな…」


「白金が関連していた、本当ですか?」


「白金は、どの分野に関しても驚異的な業績を誇っていたからな…」

「その会社の取引先を根こそぎ奪い叩けば…いくらでも同業種の会社なんて潰せるからな」


「それを、白金がやったということですか?」


「今のは全部俺の推論、事実でもなんでもない」

「だから、実際のところはどうかわからないが……恨まれているとみてもいい、いや……」

「誰に恨まれていても、おかしくはない」



私は、有馬さんの言葉を聞いて思い出した


(恨まれていても、おかしくないって……)


「……どうした?」


「いえ……」


「まあ、とにかくだ、総司がどこにいるか分からない以上、次の連絡を待つしかない」


「……そうですよね」


「……マリアちゃん」


有馬さんは身体を屈めると、俯く私の額へ手を当てて、顔を覗き込んだ



「気を落とすな、……少し眠ったらどうだ?」

「どうせ、電話があるまで動きようがないんだ」


「で、でも……」


「マリアちゃんがここで倒れたらどうする?」

「総司を無事に取り戻すには、マリアちゃんが必要なんだから……」


「……わかりました」

「少しでも動きがあれば、すぐに起こしてくださいね」


「ああ、わかってるって」






×  ×  ×  ×





「あなたが、使っていた……」


「そうだよ」


常務は振り返ると、埃をかぶった椅子の背を撫で、スーツが汚れることも構わずに腰を下ろした



「楽しかったよ」

「やりがいがあって、仕事にも恵まれて……いたんだよ」

「君の……君のお祖父さんに邪魔をされるまではね」


「……いったい、何を…」


「力のない会社が、大きな会社に淘汰されるのは仕方のないことだ」

「弱いものは強いものに喰われ、潰され、無かったことにされてしまう」

「けれどね……」



それまで穏やかに笑みを湛えていた常務は、憎悪を剥き出しにするように血相を変え、その悪念に満ちた瞳で、寂れた執務机を握った拳で強く叩いた



「白金一貫は! あいつは……酷い男だった!」



びりびりっ、と肌が痺れるような怒号をあげ、常務はそのまま俯いた



「あの男は、業界へうちの悪評を流し、取引先を誑(たぶら)かし……仕事を根こそぎ奪っていった……」


「……祖父は、そんなことをする人では……」


「お前に!白金の血が流れるお前に、何が分かる?」

「お前に、あの男が悪意を手向けると?」


「………」


「お前は賢い男だが、まだ何も知らない軟弱者だ」

「……あの恨み辛みを忘れ、お前に……仕えてやってもいいと思ったんだ」

「決して、私と同じような思いをしないように、道が逸れれば、諭してやるつもりで…」

「だが…燻っていた火種は、簡単に……」

「唆(そそのか)されただけで、燃え上がってしまった」



「……PLATINUM の……」

「自分の大切なものを奪われ、踏みにじられる……たとえそれが、一貫本人でなくても、その痛みを同じ血を受けるお前に刻んでやりたかった……」

「結局、かなわなかったがな」

「このままお前を、会長の座から引きずりおろしてやろうと思っていたが、嗜好を変えよう」



執務机の上で組み合わせた手の甲に顎を乗せ、常務はジッとこちらを見据えた










≪つづき≫







「イケない契約結婚」


白金総司(続編)



(C)Arithmetic







☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*





~ちょこっと感想(っていうか愚痴)~




はぁ~なんかね~~

この、思いっきりサスペンスチックな流れって…どうなのよ?


総司さんが誘拐されたあたりから…

なんか、気分が乗らない…っていうか、レポってても楽しくないって言うか…

この展開(総司さん誘拐!)についていけてないというか…馴染めないというか…


はぁ~なんだろ?

早く、この山を乗り越えないと…


早く、イチャイチャしたい~~~!!

総司さ~~~ん!!!



このスッキリしない原因は、完全にイチャイチャ不足みたいです…

早く早く…この第10話、終わそーっと!