続編☆白金総司


第9話:心は潰えない⑥





「どこにもいない……」


総司さんは、どこにもいなかった

携帯にかけても繋がらないし、いったいどこに行ってしまったんだろう……


(だからと言って、取引先に電話をかけるわけにはいかないし……)



なんだか、すごく嫌な予感がする…


胸の奥がざわざわと落ち着かず、騒いでいる…



(そうだ、花代さんに電話をかけてみよう)



名詞を探し出して、私は祈るような気持ちで彼に電話をかけた



『花代ですが…』


「急にお電話を差し上げて、申し訳ありません」


『ん? この声…白金のお姫様かな』


「はい、白金マリアです」


『…突然で、驚いたよ』

『また喧嘩でもした?』


「いえ、そうではなくて……その―――」



花代さんは、相変わらず甘い声で、私に語りかけてくる



「PLATINAM 買収の件ですが……」

「取引きの細々とした部分は、部下の方にお任せされていた、んですよね?」


『そうだけど……それがどうかした?』


「首謀者は白金真澄で間違いないと思います」

「でも同時に、うちの会社に共犯者がいるはずですよね」


『……そうだね』

『ああ、そいつが誰か、知らないかって事?」

『……どうして?』


「どうして……って」


『ごめん、言い方が悪かったね』

『もし、差し迫った事情があるなら、知ってるかはわからないけど、すぐ聞いてみようかなって』


「……それが―――」



私は、総司さんがどこにいるかわからない、連絡がつかない、という事情を告げた



『……なるほど?』


「私…実は一人だけそうなんじゃないか、って思ってる人がいるんです…」



タイミング的に考えて、常務の最近の行動は怪しすぎる

もしかして、常務が真澄さんの共犯者だったのではないかと思っていた


昨日も…真澄さんからの伝言を私に伝えたのは彼だった

あれも、共同でしたことなんじゃないんだろうか…?


そして、今日も真澄さんの所に行って、共犯者を突き止めようとしていた総司さんと鉢合わせたのなら…・



『とりあえず、聞くだけ聞いてみる―――』



ブルルルルッ


突然、会長室の電話が鳴る



「あ、で、電話が……ちょっとごめんなさい」



私は花代さんとの電話を保留にして、総司さんの机の上の電話の受話器をとった





「もしもし、総司さん!?」


『――― やあ』


「……その声は…常務ですか?」


『よくわかったね』


「総司さんは、常務のところにいたはずですよね?」

「途中、総務部へ向かったみたいですが……」

「そしてその後、再び重役フロアで総司さんを見かけた、と他の方から伺いました」


『はは、なるほど、君は私を疑っているわけだね』


「……否定しないということは、そうなのではないですか?」


『いかにも』

『私が、PLATONUM の買収計画お糸を引いていた男だ』


「どうして、そんな事……」


『君にそんなことを話してやるつもりはない、そして……』

『……白金総司を返してやるつもりもないよ』


「そ、総司さんを、どこに……」


『頭を殴られて、今は気を失っている』

『どこにいるかは、君には関係ないだろう?』


「あなた、何を言って……あるに決まってるじゃないですか!

「……いったい何が目的なんですか?」


『白金総司の失脚だよ』

『ただ、それだけだ』


「そんな……(どうしたら、総司さんを解放してもらえるんだろう…)」

「……これは、列記とした誘拐ですよね?」


『そうだね』


「警察に……」


『なるほど、君は…白金総司の命が惜しくないらしい……』


「なっ、ちが……」


『……ようだな』


『そういえば、白金グループの会長候補になるための条件というのは、なんだったかな?


(会長候補になるための…条件、それは……結婚―――奥さんがいる、ことだ)

(だから総司さんは、私と結婚をしたのだから……)


『ああ、そうだ、奥さんがいることだったね……だから総司くんは、君と結婚したんだったね』



常務も、この条件については知っていたらしい



『もし、君と総司くんが離婚をしたら……』

『こんな短期間で君と別れたら、前会長はどう思うだろうね?』

『もしかすると、総司くんの地位を……」


「ちょっと待って下さい、何を勝手なこと言ってる……」


『よし、決めた!』

『それが、白金総司解放の条件だ』

『君と白金総司には、離婚してもらおう』



私はズキン、とこめかみが痛んだ








≪第10話:恨みの枷につづく≫







「イケない契約結婚」


白金総司(続編)



(C)Arithmetic






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~ちょっこと感想~




ちょ、ちょ、ちょっと~~


総司さんが 誘拐!? \(゜□゜)/


嘘~~~


だって、だって…普通逆でしょう?


今までのパターンからいくとですねぇ~

ヒロインちゃんが誘拐、拉致されて……

総司さんが颯爽と、助けに現れて……



「おい、無事か!?」

「ええ、私は大丈夫よ…総司さんこそ、怪我してる…んじゃ」

「こんなのは、かすり傷だ!それより…」

「……俺の傍を離れるなって、あれほど言っただろう、それなのにお前は…」

「ご、ごめんなさい…で、でも……」

「でもじゃない!言ってもわからないなら身体に……」

「えっ? …んんっ…」



キャー甘い~~~

って、こんな感じに展開するんじゃないの??


えっ!?

勝手な私のおバカ妄想だって……orz


またやってしまいました……(/ω\)


でも、でも、でもね~

この展開って、先が読めない…どうなるのかな?

離婚しちゃうのかな??


う~ん、楽しみなようで楽しみじゃないっていうか、複雑です。。。(私だけ?)