【お詫び】


第9話:心は潰えない④のパーティーのくだり(選択肢)の後にはいる、エクストラストーリーとなります…

(抜けてしまいました…m(_ _ )m)



第9話:心は潰えない④はこちら






続編☆白金総司


第9話:エクストラ 職権乱用!?





「では、それでよろしくお願いします」


「ええ」

「白金グループ会長直々のお願いを断るわけにはいきませんからね」


商談は、なんの滞りもなく終わった




その商談の内容ののほとんどは、仕事の話ではなく、総司さんや先代を褒め称える言葉を掛けられるというばかりだった

それだけ期待が寄せられているのだと思うと、身が引き締まった


レストランを出て行く相手を見送って、総司さんは息を吐き出しながら座った



「……なかなか、買ってもらってるようだな、これじゃ、気が抜けないな…」


「少し休憩しますか?」


笑いながら彼の隣に腰を下ろす



「……そうだな」


すると、彼も笑って、なぜか私に向かって両腕を広げた



「…なんですか?」


意図が汲めずに首を傾げると、総司さんは眉間にシワを寄せた



「……来いって言ってるんだ」


「えっ!? ……で、でも……」


「個室だから問題ないだろ」



総司さんの押しに負けて私は立ち上がると、腕を引かれて横向きに彼の上に座らせられた



「こういうことができるのも、一緒に仕事をしている利点だな」


「でも、これじゃ……職権乱用じゃないですか…?」


「普段、身を粉にして働いているんだから、これくらい誰も文句はいわないだろう」



確かに、総司さんはいつももの凄く頑張っているけれど……

それとこれとは、別の問題じゃないだろうか……



「マリア、キスしてくれ」


「え?」


総司さんの口から飛び出した言葉が…あまりにも思いもよらないもので、私は思わず聞き返した



「聞こえなかったのか?」


「…ま、まさか、本気じゃないですよね?」


「こんなくだらない冗談は言わない」


「……できれば、冗談であってほしかったんですけど……」


総司さんは、視線を逸らす私の顎に手をかけ、自分へ向けさせる



「マリア、キスしてくれ」


「………」


「……なに黙ってるんだ? …してくれないのか?」


「だって……」


「これは、会長命令だ」


「……そ、そんなっ」


視線を逸らすことも許されないほど、真剣な眼差しが注がれる


私は覚悟を決めて、彼の唇へチュっと音を立ててキスをした



「……そんな子供じみたキスでいいと思ってるのか?」


一瞬だけ触れてから、すぐに離れた私の唇を、総司さんが触る



「……ダメ、ですか?」


「ああ」

「もう一度、だ」


そう告げた総司さんの前で、戸惑いを隠せずに視線を彷徨わせる



「はぁ、…本当にお前は手が掛かる…」

「……俺が手本を見せてやる」


彼は吹き出すように笑ってから、私へ深く唇を重ねた―――



しばらくの間、私たちはそのまま、つかの間の二人の時間を楽しんだ


ここがいくら個室だとはいえ、レストランだと言う事も忘れて……



パーティーの時間ギリギリまで、二人が離れることはなかった……












「イケない契約結婚」


白金総司(続編):エクストラ




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