続編☆白金総司


第5話:旧知の仲④





今日は朝一から会議があり、総司さんがその会議に出席して、もう3時間が経っていた


私も出席するはずだったけれど、ちょうど重要な案件の連絡があり、その連絡にすぐ対応できるように、会長室で待機していた



「連絡は?」


すぐ電話を取れるように、電話機を手元に引き寄せた状態で仕事をしていると、ちょうどそこに総司さんが戻ってきた


「お疲れ様でした」

「連絡はまだありません」


「そうか…」


総司さんはどこか疲れた様子で、形のいい唇からため息が零れるのが見えた


「どうかしたんですか? ため息なんかついて…」


私は思わず聞いてしまった


「いや、大したことじゃない…些細なことだ」

「……いろいろと、今までのやり方を一新させただろう」

「……中には、古株の社員も多いからな……小煩わしい重役に、システム改革には反対だと言われたんだ」


確かに、今まで働いていた古い世代には、総司さんが打ち出した改善内容では、やりにくいかもしれなかった


「若い社員からは、以前より仕事がしやすくなったとは言われたんだが…」


「そればかりは、仕方がないですよね……」


「だが、先代が世話になっていた事もあるし、あまり無下にもできない」

 


そうとう小言を言われてきたのか、彼は私の隣に腰を降ろすと、額を手で覆って俯いた


そして、ちょうどそこに電話が鳴り響き、私は受話器を総司さんに取り次いだ



重要だった案件の連絡も滞りなく行われ、総司さんの思い通りに事態は動いたようだった



「何か飲みますか?」


「……そうだな」


会長というのは、普通は自らここまで立ち回る事はない

それでも総司さんは自分で現場に赴き、自分の管理下に置かれている会社のために、自らいろいろな事を行っている

そのおかげで、白金グループの評判も上がり、傘下の会社も頭打ちだった業績をじりじりと伸ばし始めていた


「紅茶です、どうぞ」


「珍しいな…」


「コーヒーがいいかな、って思ったんですけど、今は目を覚ますよりも、総司さんにリラックスして欲しくて…」


「…いつも気が利くな、お前は……ありがとう」


総司さんはフッと微笑むとティーカップを手に取り、その縁へ唇をつけた





×  ×  ×  ×




世界的に有名なホテルで開催されている、華美で豪華なパーティー


白金グループの会長となった総司さんは、政界や財界との兼ね合いのためにこういう場に招かれることが増えていた


「すごい顔ぶれだな」


会場に入ると、思った以上にたくさんの人がいた

少し視線を動かせば、見覚えのある人が目に付く


(すごい所に来ちゃったな……)


主催者の挨拶も終わり、総司さんは色々な人に声を掛けられては、盛んに名刺交換をしていた


その途中、ふと、見覚えのある人が目に入った


(あの人――)


その人は、以前 PLATINUM で見かけて、それから、確か一緒に居酒屋に入った男性だった


(そういえばあの時、気づいたら家に帰ってきてたんだよね…? どうやって、帰ってきたんだろう…? 総司さんも何も言わなかったけど……)


今さらながらそんなことを思い、一人で首をひねっていると、男性がちょうどこちらへ振り返った


男性は、その場がパッと華やぐほど鮮やかに微笑んで、つかつかとこちらへ歩いてくる


「やあ、こんばんは」


「こんばんは…」


そういえば、どうしてここにいるんだろう…


大企業の重役でさえ、そうそう来れないような場所なのに……

 

「お前も来てたのか……」


「えっ!?」

(知り合い…?)


驚いて総司さんの方へ勢いよく顔を向けると、視界の隅で、男性がフッと笑った


「僕は、いると思ってたよ」


「………」


「白金グループは息が長いからね」

「余裕ぶっこいてると、いつ追い越されて潰されるか分からないよ?」


総司さんと向き合ったその人は、穏やかな笑みと声で、とても物騒なことを言ってのけた



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①あの…



「……あの、大変失礼なのですが……」


どうやら、総司さんとも知り合いらしい男性を横目に総司さんを見上げると、一瞬目が合ったものの、スーッと横へそらされる


(なんだか、機嫌が悪い?)




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②初めまして



「……初めまして」


初めましてじゃないのは、十分わかっていた

でも、まさか総司さんの前で一緒に飲みにいったなんて…言えるわけない


「……初めましてではないだろう? 忘れたのか…?」


総司さんのその言葉に、ドクンと心臓が撥ねた



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③この間はありがとうございました



「この間はありがとうございました」


総司さんの前で言うべきじゃないのは分かっているけれど、あの時のことを考えたら、言わざるをえなかった

総司さんの知り合いみたいだし、気を悪くさせてはいけないと思った


(あれ?)


けれど、お礼を言った途端に総司さんはムッと顔をしかめた



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目の前の男性は、総司さんから私へゆっくりと視線を動かした






≪つづく≫








「イケない契約結婚」


白金総司(続編)



(C)Arithmetic








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~ご挨拶&ちょこっと感想~




暑中お見舞い申し上げます!



いや~毎日暑いですね~~~

夏、夏、夏~~~って感じで、本当に暑い…


今日から8月ですものね!

夏、真っ只中です。。。


夏は嫌いじゃないんだけど…私はどうしてもインドア派になってしまうのですが…

ずっとインに籠っているワケにもいかず…

今週末は海に行ってまいります(家族で)


娘は大喜びしているのですが…私は…うっ、うっ…


完全防備でテント&パラソルの中に立てこもろうかと思案中…


皆さんも夏のご予定はお決まりですか?

毎日暑いので、熱中症に気をつけて、快適な毎日をお過ごしくださいね!




と、いうわけで――



第5話まできた、総司さんの続編ですが…

一難去ってまた一難、何か起こりそうな気配ですね~~


やっと仲直りして、ホッとしていたんだけど…

この、花代さんの出現、意味ありげだな~~

総司さんの大学時代の同級生らしいけど、仲悪いし…

いい人なのか、危ない人なのかが、まだよく掴めてなくて…

でも、前に出てきたときは結構いい人でしたよね。

ヒロインの愚痴聞いてくれちゃうし…

酔いつぶれたのをちゃんと家まで送ってくれたし…(手も出さずに…)

う~ん 最後はどうなっちゃうのかな?

(まだ、続編最後まで終わってないので、ホント楽しみです!)


それで、このイケ契アプリなのですが、今、期間限定シナのイベントをしていまして…


続編をちょっとストップして、そっちを進めています。


うまくコンプできた時は、そちらも後々レポしたいかなって思っています!

(まだ、はじめたばかりなので、何とも分からないのですが…)



それでは、暑い8月も、熱い総司さんをお届けしたいと思いますので、よろしくお願いします!!




マリア