続編☆白金総司
第5話:旧知の仲③
「そ、総司さん……っ」
フッと耳に息を吹きかけられて、全身がゾクゾクと粟立った
「…で、俺の泣き顔…どうだったんだ?」
総司さんが屈んで、私の目じりに唇を寄せた
反射的に目を瞑ると、柔らかいものがまぶたに触れる
そのままそれは、こめかみをたどって、耳たぶへと移る
「本当に、ひどいヤツだ…」
「だって……」
目を開けると、総司さんがじっと私を見ていた
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①ごめんなさい
「……ごめんなさい」
蛇に睨まれた蛙ののように縮こまり、小さな声で謝った私に、総司さんはフッと鼻で笑った
「いまさら遅い…」
「本当に悪かったなって思ってます」
「ダメだ」
「…反省してます」
「それでもダメだ……許してやらない」
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②好きだから、つい…
「総司さんのことが好きだから、つい…」
「つい、なんだ?」
「総司さんが私にするみたいに…ちょっと意地悪してみたくなって……」
「ふ~ん……それだと俺が、お前のことをすごく好きみたいじゃないか?」
「えっ!? いや、あの、そういうわけじゃ…」
「まあ、間違ってはいないけどな…」
「そ、れって……」
「でも、それとこれとは話が別だからな……許してやらない」
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③悪気はなかった
「悪気はなかったんです」
「あったらもっと悪い…」
「その、好奇心で…」
「人の泣き顔を見たいっていう理由で、そういうことをさせるとは…随分と行儀の悪い好奇心だな」
「うっ……」
「そんな顔してもだめだ」
「ごめんなさい…」
「許してやらない」
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総司さんの手が頬を撫で、そのまま首へと滑る
鎖骨をなぞると爪をたてて、微かに赤い痕を残した
「――マリア」
甘い声で名前を呼ばれて、心臓の高鳴りを隠すようにそっと目を閉じた
≪第5話:エクストラ 素直な気持ち? につづく≫
「イケない契約結婚」
白金総司(続編)
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