続編☆白金総司


第4話:幸せとは①






「よう」


有馬さんから急に電話がかかってきた

一方的に場所と時間を告げられて電話を切られ、

総司さんはムッとした顔をしながらも私を連れてやってきた


「お前か、今回の諸悪の根源は?」


「なんの事だ?」


「わざわざマリアを呼びつけて、いらん写真を見せただろう」


白金グループ本社近くにある高級レストランの個室で、総司さんは有馬さんをジロリと睨みつけた


白く光沢の美しいクロスのかかった丸テーブルを、煌びやかなシャンデリアが照らしていた


「その調子だと、問題は解決したのか?」


私と総司さんを見上げながら、有馬さんは悪びれた様子もなくにっこりと笑った


「………」


総司さんは眉をしかめたまま、有馬さんの正面に腰を降ろした

私もそれに続いて、総司さんの隣に腰を降ろした



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①一緒に怒る


「でも、結果的に世間には出なかったですよね、あの写真」


「ああ、そうだな」


「…ということは、有馬さんが私にそれを教えてなければ……総司さんと喧嘩しなくて済んだかもしれないですよね?」


にっこりと笑いながら有馬さんに言うと、参ったとばかりに両手を顔の横に掲げ、降参のポーズをとった




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②お礼を言う



「でも今回のことで、ますます総司さんを好きになれた気がします」


「マリアちゃん…」


「自分で思っていたよりも、私は総司さんのことが好きなんだなって」


「………」


「よかったな、総司」


「お前には死んでも感謝しない…」


(総司さんは、怒ってるなあ……)



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③総司をなだめる



「まあまあ」


「……妻から突然、すげない態度をとられる方の身にもなってみろ、お前なら…いつ撮られたかくらい調べられたんじゃないのか?」


「そう、無茶言ってくれるなよ、総司」


「…お前は身を固めていないから分からないだろうけどな」




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「そう怒るなって…」

「俺が直接お前に聞けば良かったんだろうが、もうお前は独り身じゃない、これは夫婦間の問題だと思ったんだよ」


「だからって、何で先にマリアに……」


「俺は何かあれば、マリアちゃんの味方をするつもりだった」

「それにこの写真をお前に渡して、もし本当だとしたら、お前はどこかに根回しして、隠ぺいするかもしれないだろう?」



「そこまで信用されていないとはな…」


「マリアちゃんがお前を疑いきれない分、俺が疑ってやったんだ」


「余計なお世話だ」


「でも、総司さんが差し止めをさせたワケじゃないんですよね?」


「ああ、あんな写真があること自体知らなかったし、だいぶ前の写真だからな…」


「だいたい、ああいうスクープ写真を掲載するときは、タレントの所属事務所に連絡するんだよ」


「そうなんですか?」


「そこで、スクープはもみ消されるわけだ」

「大方、事務所が金を払って止めたんだろう…」


有馬さんはそう言うと、手を組んで両肘をテーブルへつき、顎をのせた


「…よかったな……公表されてたら、相当なバッシングをうけただろう」


「そう、ですよね……」


総司さんは、常に注目される存在となったのだから、私生活でも今まで以上に気をつけないといけない

一挙一同が、グループ全てに影響を及ぼす


(私、自分のことしか考えてなかった…)


「……ま、今回は」


ふん、と総司さんは鼻を鳴らすと、長方形の茶封筒を取り出した


「これで、チャラにしてやる」


「………」


有馬さんはそれをジッと見つめていたものの、ニッと口角を上げ、少しだけ身を乗り出して、胸ポケットへしまい込んだ


「了解」


「? 何ですか?今の?」


「ちょっとな…男と男の秘密だ…」


「そう言われると、余計に気になります」


「ま、仲直り祝いだ、楽しく飯食おうぜ!」







≪つづく≫





「イケない契約結婚」


白金総司:続編



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